アフターアワーズ

山椒系ちょくの切り抜き帖

日本政治

My Favorite Things:『《昭和80年》戦後の読み方』(文春新書、2005年)

単に日本の戦後のみならず、近代からの日本や日本人の特徴が世界の思潮にどう向き合ってきたか、アメリカの影響圏のあり方、そして憲法改正と日本人のこれからまで論じる。各々の発言を長めに連ねた編集が好ましい。西部氏の発言の端々には後の彼の運命が透…

憲法第9条制定の背景を秘し創作した「意義」を語り続けた幣原元首相

幣原喜重郎元首相が衆議院議長時代の1951年に日本国憲法第9条制定の意義を綴ったとされる原稿が宮城県で見つかったという。 mainichi.jp 内容は『外交五十年』に記されたものとほぼ同様で軍備全廃の意義を謳ったもの。しかし幣原氏が憲法第9条を組み込んだ理…

見逃せない日本の対北朝鮮経済制裁の水漏れ【外交の根本にあるまやかし】

古川勝久氏は国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会の専門家パネルのメンバーとして北朝鮮を巡る新規の流れの探索に取り組んだひと。そこから見えてきたものを『北朝鮮 核の資金源《国連捜査》秘録』(新潮社)にまとめた。 ときに日本は安倍首相が先頭に立ち…

「少し話して、長く話して」【日米首脳会談とその後】

4月17日-19日に安倍首相は訪米し、トランプ大統領との首脳会談に臨んでいる。今回は北朝鮮情勢のほか、日米二国間の懸案である貿易問題が大きなウェイトを占める。 日本は貿易問題に関しては今秋行われるアメリカの中間選挙が終わるまでのらりくらりと引き延…

必要なのは憲法改正と組織改革【防衛省「日報」問題】

2017年、南スーダンのPKO日報問題が発覚した際、日本特有のPKO派遣に関するごまかしや組織体が根本原因だと指摘した。 choku-tn.hatenablog.com 年が明けて新年度を迎えたところで今度は「存在しない」と言っていたイラク派遣の日報が見つかるという失態が明…

My Favorite Things:石原愼太郎『国家なる幻影』【私政治小説の最高峰】

2001年文庫化。1996年の議員辞職までの「第1期政治家人生」を自ら描いた作品。ノンフィクションとはとても受け取れないが、登場人物が全て実名の私政治小説と思えば傑作。非情、浪花節、非合理、裏切り、ブラックユーモアが詰め込まれた内容は密度が濃く、ど…

青山霊園に眠るひと【緒方竹虎・松岡洋右】

2018年(平成30年)3月31日訪問 3月31日、青山霊園にて。近年桜の盛りはあっという間に過ぎてしまう。#青山霊園 #桜並木 #散っている #先祖の墓参り #2018年 #3月31日 「総理になれなかった大政治家」緒方竹虎・元副総理。戦前は朝日新聞記者で2.26事件に遭…

福田赳夫『回顧九十年』【最初で最後の著書】

1994年刊行。題字も著者。首相を辞めてからの話が意外に面白い。OBサミットを創設した福田赳夫氏はフォード、カーター両元アメリカ大統領同様、優れた「元首相」だった。#読書 #元首相 #回顧録 #いただきもの #日本政治 #昭和史 #父親 ヘルムート・シュミッ…

疑惑の構図、範囲が明確に【3/27佐川元理財局長証人喚問】

森友学園の国有地払い下げに絡む公文書書き換え問題で27日、キーパーソンと目された佐川元理財局長への証人喚問が行われた。 jp.reuters.com 喚問の結果、佐川氏が偽証していないとすれば書き換え事態は理財局のなかで発生し、近畿財務局を巻き込む形で行わ…

My Favorite Things:服部龍二『中曽根康弘』『田中角栄』

ともに1918年生まれ、当選も同期のふたり。服部龍二先生は一次資料の読み込みのほか、中曾根氏本人を含む政治家、官僚OBの聞き取りを行ってきた成果も取り込み、精緻にしてひとの息づかいの聞こえるテンポのいい評伝にまとめた。田中角栄氏についてキャラク…

文部科学省の対応は妥当【「前川講演」調査について】

前川喜平氏はいわゆる「天下り問題」で文部科学事務次官を事実上更迭、その後懲戒処分が下っていたら停職相当とされた。退官後、安倍内閣や文部行政に関して独自の見解をあちこちで披露している。素晴らしい考えをお持ちなら、なぜ在職中に天下りの斡旋にか…

『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の虚と実

1979年刊行。タイトルとは裏腹に「日本はいずれ行き詰まる。アメリカは慌てずに構造改革に邁進すること」が主旨。その通りになった。#耳の痛い話 #日本論 #日本 #アメリカ #日本型経営 #日本社会 #アメリカ社会 #知日派 #未来予測 #過去からの警告 #構造改革…

「君命も受けざるところあり」はいずこ【森友決裁文書書き換え問題】

政治家は自らとつながりのある人間にいい顔をしたがる。他方国士面して政治家に近づき「美しい話」を吹き込んで後援してもらい、己の卑屈な野心を満たそうとする連中はいつの時代にもいる。 官僚はそういう人間の生態を冷徹に見ながら、法律の範囲内で行政実…

期待も悲観もせず、結果が出るまでは静かに【南北・米朝首脳会談開催の見通し】

三浦瑠麗女史は2017年1月のトランプ大統領就任時から圧力をかけた上での米朝首脳会談の可能性に言及していたので驚く話ではない。2018年11月の中間選挙、さらにその先の再選を見据えてトランプ大統領は内政、外交両面で実績作りに前のめり。 金正恩氏が訪朝…

日本国憲法第9条改正は第2項削除以外なし【独立国のグローバルスタンダードに沿って】

自民党の安易さと「護憲」を唱える連中の滑稽さ 日本国憲法第9条にはこう記されている。 第9条日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久…

My Favorite Things:岡崎久彦+佐藤誠三郎『日本の失敗と成功』(扶桑社)

明治維新以降の日本の核心を凝縮 2018年(平成30年)は明治維新150年。大河ドラマをはじめ、幕末から明治維新の流れにまたスポットライトが当たっている。明治維新以降の日本は上昇と下降の振り幅の大きい歩みだった。明治、大正、昭和の内政、外交の分水嶺…

国民栄誉賞の新規授与は停止が妥当【顕彰・叙勲で対応を】

1977年に王貞治氏が通算756号の本塁打を放った時、当時の福田赳夫内閣が王氏への表彰を求める世論に押され、窮余の一策としてひねり出したのが国民栄誉賞。プロのアスリートに対する顕彰・叙勲の例がなかった時代、新たに内閣の胸先三寸であげられる賞の創設…

当然の結果【名護市長選挙で渡具知武豊氏当選】

名護市長の仕事は名護市を豊かにし、市民の暮らしを良くすることのはず。ところが2期8年市長の座にあった稲嶺進はアメリカ軍普天間基地返還に伴う代替施設を名護市辺野古沖に設けることに反対することに狂奔し、灌漑施設の整備や難視聴対策など市民の死活問…

箴言の宝庫『村山富市回顧録』が文庫に

日本における改革の実現や大きな外交成果達成は保守安定政権で周到な準備した場合が殆ど。早期講和、社会保険、安保改定、日韓国交回復、沖縄返還、日中国交正常化、三公団・公社民営化、全てそう。革新勢力が騒いで実現したことなど皆無に近い。革新のひと…

60年前の遺物「国防の基本方針」の再策定が先だ【防衛大綱見直し表明】

安倍内閣は内政、外交ともに各論(対症療法)を次々と繰り出して一定の成果をあげるのがうまい反面、安定した政権基盤を持ちながら物事の根っこの改革や再構築には消極的なのが特徴。 23日に小野寺防衛大臣が正式表明した防衛大綱の見直しもしかり。 www.asa…

日本の将来を見据えて【安倍首相東欧歴訪】

エストニアはIT先進国でNATOのサイバー防衛の拠点が置かれている。サイバー空間の安全保障政策が未だ不十分な日本にとってエストニアとの関係深化は重要。昨年の欧州歴訪時にもエストニア訪問が予定されたが九州北部豪雨対応のためキャンセルした。ようやく…

中曾根-故耀邦最後の会談【外交文書公開より】

2017年12月20日に外務省が公開した外交文書ファイルのうち、最も興味をひかれたのは1986年11月、中曾根康弘首相が訪中、失脚2ヶ月前の故耀邦総書記と行った日中首脳会談の記録。 http://www.sankei.com/smp/politics/news/171220/plt1712200040-s1.html 私は…

田中-キッシンジャー会談の舞台を訪ねて【軽井沢万平ホテル】

1972年8月19日、田中角栄首相はアメリカの国家安全保障担当補佐官ヘンリー・キッシンジャー博士と会談した。来日にあたって田中首相との会談を望んだキッシンジャー博士だが、当初首相は「なぜ一国の首相が補佐官と差しで会談しなきゃいけないのか」と難色を…

「ねほりんぱほりん」の上をゆく養子の独白

27日放送のNHK-Eテレ「ねほりんぱほりん」のテーマ は「養子」。養子として育ったひとの葛藤の人生が語られた。しかし正直あまり面白くなかった。 2015年2月、安倍首相の実弟で生まれてすぐ母方の実家岸家の養子となった岸信夫・元外務副大臣が祖父と自身の…

日本が常に良い関係を保つ必要のある6カ国

アメリカ、チャイナ、UK、ロシア、フランス、ドイツ。 日本は上記6カ国と常に密接な関係を保つことが求められる。逆に言えばこの6カ国との関係が良好なら他の国との関係はおのずからうまくいく。世界の殆どの国は歴史上この6カ国の支配下におかれた経験を持…

日本版「エアフォースツー」の導入を【河野外相「外相専用機」提唱】

「地球儀を俯瞰する外交」に要人輸送機は不可欠 河野太郎外務大臣は12月18日の自由民主党外交部会、同19日の閣議後記者会見で外務大臣が外遊する際、民間機を使っているため海外との外交上のハンデキャップが生じているとして再来年度の予算で「外相専用機」…

12/8服部龍二『佐藤栄作』刊行【「戦後最長不倒宰相」の初の本格評伝】

池田勇人と田中角栄の人気の影で 戦後最も長期間(2798日)首相の座にあり、日韓国交正常化や小笠原諸島と沖縄の返還を成し遂げ、1970年大阪万博も成功させ、退任後にノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作(1901-1975)。在任期間の長さ、業績の数々、功罪相半…

老政治家たちの悲しき願い【『金鍾泌証言録』と日韓関係】

日韓国交正常化に尽力した金鍾泌・元韓国国務総理の証言録の日本語版が新潮社から刊行され、その出版報告会に中曾根康弘元首相が出席、挨拶したという。 www.sankei.com 金鍾泌氏は韓国政界有数の知日家。日韓国交正常化の交渉過程で懸案だった日本の経済協…

北朝鮮の出口を考える【求められる日米チャイナの連携】

穏健な独裁への体制変更が現実的 チャイナ(中国共産党)からの特使を慇懃に追い返した後、11月29日に北朝鮮(金正恩)は弾道ミサイルをこれまでより高く飛ばす試射を行った。仮に特使と面会後にやっていれば決定的にチャイナのメンツを潰していたから特使に…

日米チャイナのトップ会談の必要性【トランプ米国大統領来日・アジア歴訪】

インテリの嘲りに抗う安倍・トランプの好相性 政治的な利害、お互いが背負う両国の国益といった事柄以前に安倍晋三首相とトランプ米国大統領は相性がいいのだろう。それが証拠に他の主要国の首脳はトランプ氏とのコミュニケーション不全に陥っている。1980年…