アフターアワーズ

山椒系ちょくの切り抜き帖

『レコードうら・おもて』【レッグ&シュヴァルツコップ回想録】

「レコードの帝王」と称されたブロデューサー、ウォルター・レッグ没後40年。本書は夫人のシュヴァルツコップが亡き夫の遺した「まだ書いていない自伝からの頁」に自身の口述や仕事仲間の文章を加えてまとめた回想録。仮にレッグの単著だったら「うら」をも…

『ピーター・フォーク自伝』【情熱とインテリジェンスにあふれた名優の気取らぬ言葉】

機知、ユーモア。名だたる映画人たちとの出会いや別れが語られる一方、傍目から見れば凡庸なひとも結構大事に扱う。もちろん刑事コロンボの話はたっぷり。あともうひとつだけ、リアル「うちのカミさん」(2番目)の強烈キャラに苦笑い。2006年(日本語版2010…

【Hatena Blogお題投稿】秋の夜長に読む本2018

今週のお題「読書の秋」 昨年に続いて。 choku-tn.hatenablog.com 1.堤清二(述)、御厨貴、橋本寿朗、鷲田清一(以上編集)『わが記憶、わが記録-堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』(中央公論新社) 子供の頃、親に連れられて「セゾン文化」の全盛期を肌で…

たまには軽いものを【読みやすいがズッシリくる新書】

軽く読める(中身が軽いではなく入りやすい)本が欲しくて。#文春新書 #角川新書 #石原慎太郎 #猪瀬直樹 #三浦瑠麗 #国際政治 #日本政治 #戦後政治 #外交 #安全保障 #読書 #これから読む #新書 #国家観 三浦瑠麗さんは同い年で出身県も同じ。あまりの知性、…

橋本忍『複眼の映像』【戦慄すら覚える選ばれし者たちの閃きと鞘当て】

日本映画史に残る名作、怪作は殆ど全てこのひとの筆から生まれた。本書の主題であり、題名が表す、共同脚本のプロセスの本質は畏怖すら感じるレヴェル。黒澤明監督の成功、失敗、美点、欠点、矛盾を最も公正に分析した1冊でもある。#読書 #文春文庫 #文藝春…

メモで築いた危機管理の要諦【佐々淳行さんをしのぶ】

「ミスター危機管理」佐々淳行氏が10月10日に逝去、87歳。自慢話の多い面はあったが「国益重視」「治安を守る」という視点を分かりやすい言葉で広く知らしめた功績は大きい。R.I.P.#佐々淳行 #文春文庫 #読書 #訃報 #危機管理 #後藤田正晴 #戦後史 #10月10日…

My Favorite Things Special【シャーロック・ホームズ正典短編ベスト10④】

以下の記事の続き。※一部ネタばれあり※ choku-tn.hatenablog.com choku-tn.hatenablog.com choku-tn.hatenablog.com choku-tn.hatenablog.com 第3位:六つのナポレオン(『シャーロック・ホームズの帰還』) 「雲をつかむような話」→「ホームズの地道な捜査」→…

ゲルハルト・ベルガー、人生の勝利者【Racing on#497】

F1を熱心に見ていた頃、1番好きだったドライバー。ベルガーがもたらしたホンダ第二期最後の優勝に生中継で接し、ジーンときたのを覚えている。#レーシングオン #racingon #三栄書房 #雑誌 #f1 #f1世界選手権 #ベルガー #ゲルハルトベルガー #マクラーレン #m…

阿川弘之『雲の墓標』【時代設定に胡座をかかず普遍性で読ませる筆力】

極限状況に寄りかからず、普遍性のある人間心理の美醜、葛藤、組織の歪みを簡潔な骨格で透かし彫りした。それゆえ感銘は深い。無粋な背景説明がなく日記、手紙という当事者目線がメインなのも成功。文庫版の解説は安岡章太郎。昔読んだ本より字が随分大きく…

ホンダ第4期に浮かぶ微かな希望【第2期V10時代回顧】

懐かしい時代、懐かしい話。インタビュー含めてベルガーにページが割かれているのは嬉しい。#autosport #別冊 #フォーミュラワンファイル #f1世界選手権 #マクラーレンホンダ #mp4_5 #マクラーレン #mp4_5b #ホンダv10 #v10エンジン #無限ホンダ #雑誌 #サン…

My Favorite Things Special【シャーロック・ホームズ正典短編ベスト10③】

以下の記事の続き。※一部ネタばれあり※ choku-tn.hatenablog.com choku-tn.hatenablog.com choku-tn.hatenablog.com こちらのブログの筆者(素晴らしいミステリ通)が記事にスターをつけて下さり、おかげでベスト5を書いてなかったことを思い出した。 www.bo…

阿川弘之『乗りもの紳士録』【ひとは乗り物で遊ぶ】

さっぱりした文章が心地好い乗り物を触媒とした交友録。遠藤周作、斎藤茂太、横山隆一、吉行淳之介などなど。海軍絡みのエピソードも。#阿川弘之 #随筆 #交友録 #読書 #中公文庫 #関川夏央 #遠藤周作 #豪華登場人物 #こざっぱり #乗り物

石原慎太郎『歴史の十字路に立って』【痛々しいまでの時代との相剋】

2015年刊行の回顧録。多少時系列の前後はあれど少年期から政界引退までを綴る。読みやすい文章で展開される氏の「垂直論理」が胸を突く。#石原慎太郎 #回顧録 #php #歴史の十字路に立って #2015年 #戦後70年だった #意外と読みやすい #日本政治 #東京都知事 …

【再掲】『村山富市回顧録』2018年1月文庫化

革新の中で何かを成したと言える数少ない政治家。他には飛鳥田一雄氏くらい。筋は硬いが独特の狡さがあって現実とうまく折り合いをつけた。それが社会党、社民党の衰退に繋がったのは皮肉。原書は2012年5月刊行、2018年1月文庫化。#村山富市 #元首相 #岩波現…

江夏豊『燃えよ左腕』【不滅の奪三振王、その半生】

著者の愛読書『燃えよ剣』(司馬遼太郎)をもじったタイトルが泣かせる。波乱の生い立ちから左腕で掴んだ栄光と暗部まで。朴訥な語り口に計り知れない情熱、探求心、強烈なプライドが滲む。読み手の身体を熱くする1冊。#江夏豊 #阪神タイガース #南海ホーク…

指揮者ノーマン・デル・マーのアイロニー【EMI初のステレオ収録音源が蔵出し】

1983年刊行。1978年~1982年に「音楽の窓」や「音楽の友」に掲載されたコラムを集めたもの。カラヤンやポリーニなどのスター以外にフェラーラ、レッグ、タリアフェロ、マリア・ティポ、ノーマン・デル・マー、テレンス・ジャッド、シッパースといった顔ぶれ…

石原慎太郎『海の家族』【簡潔にして深淵】

表題の通り海、家族の絡み合う業が綴られた短編集。シンプルな文体に潜む棘のある余韻。死の香り。#石原慎太郎 #石原愼太郎 #文藝春秋 #短編集 #海の家族 #ヤマトタケル #死生観 #読書 #小説 #文學界 #2016年

船村徹さんの人生の伏流水【私の履歴書】

高野公男さんの存在、友情と死が、本書そして船村徹さんの人生の核心。その通奏低音は美空ひばりさんや村田英雄さんとの挿話から演歌巡礼へ繋がる船村さん単独の物語にも流れ続ける。#私の履歴書 #船村徹 #日本経済新聞社 #読書 #演歌 #歌謡曲 #高野公男 #美…

【第159回芥川賞】高橋弘希さん、4度目の正直

高橋弘希さん、第159回芥川賞受賞!3年前から注目していたので嬉しい。同世代だし。簡潔な言葉遣いの研がれた文面にはゾクッとする陰影がたちこめる。死への感受性の強さ。中村文則氏以来、久々に逸材と言える作家の受賞。#高橋弘希 #芥川賞 #第159回芥川賞 …

浅利慶太と石原慎太郎【日生劇場の興り】

浅利慶太、石原慎太郎が財界の大物と組んで幕を開けた日生劇場。その残照は現在も残っている。浅利慶太は7月13日に85歳で死去。#浅利慶太 #石原慎太郎 #石原愼太郎 #文春文庫 #日生劇場 #ベルリンドイツオペラ #武智歌舞伎 #武智鉄二 #わが人生の時の人々 #…

園田高弘『ピアニスト その人生』【生涯現役の厳しい道】

演奏家としての矜持、カラヤンやチェリビダッケとの共演、欧州での苦労。日本語で読めるピアニストの自伝の最高峰。日本人の演奏家による著作物の頂点。基になった日本経済新聞「私の履歴書」のためのインタビューをまとめた池田卓夫氏の手腕の賜物。余白の…

石原慎太郎が「群像」で連載小説開始【怨みは消えた?】

石原慎太郎、作家生活60年余にして初めて「群像」誌に執筆!しかも長年書く書くと言ってきた家族小説の連載。奇しくも瀬戸内寂聴の連載も開始。#文芸誌 #雑誌 #群像 #講談社 #石原慎太郎 #石原愼太郎 #湘南夫人 #瀬戸内寂聴 #水に流す #小説 #2018年8月号 #…

石原慎太郎・瀬戸内寂聴『往復随筆 人生への恋文』【密やかな交歓】

涙、夢、不可知なるもの…ひとの行く道に絡む様々な要素を二人の大人が綴り合う。どちらも簡素な骨格で行間の表情が豊か、深い余韻。脱帽。#文春文庫 #読書 #石原慎太郎 #瀬戸内寂聴 #立木義浩 #往復随筆 #随筆 #文士 #2008年 #大人の味 #石原愼太郎 #異種格…

『読売日本交響楽団創立50周年記念誌』(2012年刊行)

ずっと気になっていたがようやっと借り出してパラパラ。貴重な写真はあるものの所々記述が不正確。例えばマゼールが初めて振った日本のオーケストラは読響とされているが実際は東京交響楽団。また1963年の近衞秀麿、1981年のドラティ客演に本文で全く触れて…

レーシングオン#495【ポルシェ917vsフェラーリ512】

映画「栄光のル・マン」が好きなのひとは表紙を見ただけでゾクゾクするに違いない。スポーツカーレースが現在より熱く、美しく、残酷だったこちらの知らない時代。#レーシングオン #495 #ポルシェ #917 #917k #ポルシェ917 #フェラーリ512 #ルマン24時間自動…

本当に強かった【黄金時代の西武ライオンズ】

子供の頃はライオンズファン。秋山幸二氏が好きだった。クレバーな森監督の姿も忘れがたい。#ベースボールマガジン #別冊 #2018年 #6月 #西武ライオンズ #黄金時代 #40周年 #森祇晶 #秋山幸二 #辻発彦 #伊東勤

井上寿一『戦争調査会』(講談社現代新書)

当たり前の話だが世界は日本の主観に関係なく色々変わるし、世界は日本の主観に関係なく日本を判断する。大切なのは正道を見失わない、当事者間の意思統一、そしてアングロサクソンやチャイナとは事を構えない。これらを守る意思さえあれば日本が道を誤る可…

芯の太い合理主義者のNo.2【金鍾泌・元韓国首相死去】

6月23日に92歳で死去した金鍾泌・元韓国首相は2015年、韓国・中央日報のロングインタビューを受けている。2017年の暮れ、新潮社から日本語版が出版された。すぐ地元の図書館にリクエストしたところ2018年5月にようやっと神奈川県立図書館が応じてくれて読め…

井上寿一『第一次世界大戦と日本』(講談社現代新書)

第1次世界大戦前後の日本の諸相を分析し、以降の行く道に繋がる要素を透かし彫りした1冊。大正のひとたちの概ね的確な情勢対応、見通しに接するとなぜ昭和の日本が破滅に向かったのか理解に苦しむ。ただそれは結果を知っているから言えること。当時のひとた…

My Favorite Things:石原慎太郎『私の海の地図』【しっとりした内面の声】

美しい写真と共に綴られる海をテーマとした回想エッセイ。長年外洋帆走協会の会長を務めたひとゆえ勇ましい話もあるが文章の基調は静かな心のつぶやき。日本屈指のブルーウォーター派の魂が宿った1冊。「家庭画報」連載の単行本化。#石原慎太郎 #石原愼太郎 …