お茶の間で味わう師走の楽しみ
日本の楽壇の12月といえばベートーヴェン:交響曲第9番。というわけで今日は日本人指揮者の「第9」CDを5点セレクト。
ベートーヴェン:交響曲第9番/山田一雄(指揮)京都市交響楽団
1983年12月21日ライヴ録音。やや細身の響きで目の詰まった音楽を運ぶ。特に前半楽章の上品な力感、伸びやかさは立派。声楽もしっかりしている。
②若杉弘指揮、NHK交響楽団(日本伝統文化振興財団)
1989年12月22日ライヴ録音。ティンパニはシュターツカペレ・ドレスデンの名手ゾンダーマン。若杉特有のさっくりしたメリハリのきいている、優美かつ麗々しい好演。
ちなみに1992年収録の動画↓はコバーン、ゾッフェル、シュンク、ニムスゲルンの豪華独唱陣。やはりゾンダーマンがティンパニ。
③朝比奈隆指揮、倉敷音楽祭祝祭管弦楽団(東武レコーディング)
ベートーヴェン:交響曲第9番/朝比奈隆(指揮)倉敷音楽祭祝祭管弦楽団
1996年3月24日ライヴ録音。鋭い輪郭から重いパンチを繰り出し、小さめの編成なのに強い音圧の響きがドドーンっと拡がる。豪華メンバーの奮戦も聴きもの。後半楽章の山と谷の大きいコントラストは否応なしに巻き込まれる。
2011年12月ライヴ録音。オーケストラの見通しの良い澄んだサウンドを活かし、しなやかでシャッキリした演奏に仕上げる。独唱充実。全集としても飽きのこない内容。SACDハイブリッド盤。
2016年12月ライヴ録音。東響特有のギュッと締めた筋肉質の響きでがっしりと築かれる。いわゆる正攻法だが時々モリモリくる箇所もあって歯応え十分。テノールはロバート・ディーン・スミス。
こうして日本収録の第9を探索すると勝部太(バス)の登板数の多さに気付く。歌い方にクセがあり、好みの分かれる歌手だが1980年代から1990年代にかけて日本低音陣の中核歌手だった。もっと業績が称えられていいと思う。