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山椒系ちょくの切り抜き帖

貴乃花親方が説く基本動作と極める稽古の尊さ【初代若乃花からの継承】

2017年1月31日、第65代横綱貴乃花親方は弟子の新十両・貴公俊の記者会見に同席、にこやかに出世を喜びつつ、先代師匠(元大関貴ノ花)や初代若乃花が育み、自身が現役時代に見てきた「稽古の伝統」を守り抜く決意を語った。

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記事によれば貴乃花親方は貴公俊の歩みと重ねつつ、力士や部屋のあり方について自身の考えを述べた。

安定感と自然体と、重心の低さと腰の重さっていうのを、ますます鍛錬するべきだろうなと。相撲の技術的には、完全な四つ相撲がとれる子なので、まわしを切ったりとか、自然に教わることなく見よう見まねでできるところがある。天性のものというか、そこをこう地道に本人が向き合って、すり足、てっぽう、四股というのをいかに踏めるかといったところが、今後の試練だと思う。

関取になってからなお一層基本動作の徹底をかみしめてこそ、更なる向上が望めるということだろう。筋力トレーニング花盛りの昨今だが、すり足、てっぽう、四股などつけた筋肉を定着させる運動を怠ると土俵での怪我に繋がる。最近すぐ肉離れする力士が多いのはこのため。

続けて親方は「公俊は(弟の)源治とは違ってとにかくスタミナ系の力士」と指摘した上で

やはり昔の歴代の横綱大関が関取相手に、何十番も一人で代わる代わる一時間も二時間と稽古した、稽古できた、ああいう伝統を公俊は今後、できていけるようにと。そこを私は目指している。受けて、受けて、攻めて、攻めて、受けてという地道な稽古ですけれども、それを今後はできていけるような、また、これまでそれを念頭に置いて、指導してきた。

地位というよりは、やはり地力をつけるということ。常に反復的な基本動作というのが地道な作業でとても心身ともにきついが、特に公俊にはそれを、回数を増やすというよりも、中身の濃いものをやっていって自動的に回数が増える、体に染みついてくる。そこを自然体で身につけてほしいなと思う。

とし、さらに部屋の雰囲気についても触れた。

関取が増えるということで、賑やかにみえるかもしれないが、決して以前よりも修練を積んでいくような部屋の姿勢でいたいなと思い。とにかく全員で上を目指す、でも上を目指すという気持ちが先走るのではなく、うちの公俊にはとにかく自然体で、また自然体で稽古を何番も重ねられる力士、うちの師匠、また初代若乃花の親方から学んできた伝統という稽古を、公俊はできるような気がしている。目指しても届かない場所だと思うので、本人もやりがいがある。

やはり力士は強くなるためには稽古はもちろんですが、食事と睡眠とっていうのがとても大切だと思う。夜寝てから朝起きるまで、朝起きてから夜寝るまで、相撲のことを考えて現役時代を過ごせるようにと。

力士、部屋にとって大切なもの、理想についてこれほど分かりやすく、一本筋の通った御自身の言葉で語れるひとは少なくとも現役の親方ではいない。かつて初代若乃花さん、大鵬さんの語ったことと一脈通じる相撲の王道を感じる。

私は師走に角界の現状を嘆いた。

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日本語で「保守的なひと」と訳される名詞「conservative」には「防腐剤」という意味もあり、動詞「conserve」の意味は「・・・を(将来のために腐敗・破壊・減衰しないよう)保存する」。※ジーニアス英和辞典(大修館書店)より。

貴乃花親方には立派な師匠として角界を「conserve」するための「conservative」となって頂きたい。