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文化・社会トピック切抜き帖

当然の結果【名護市長選挙で渡具知武豊氏当選】

名護市長の仕事は名護市を豊かにし、市民の暮らしを良くすることのはず。ところが2期8年市長の座にあった稲嶺進はアメリカ軍普天間基地返還に伴う代替施設を名護市辺野古沖に設けることに反対することに狂奔し、灌漑施設の整備や難視聴対策など市民の死活問題を放り出してきた。こうした市民生活に直結する問題への処方箋を選挙戦である程度示した渡具知氏が稲嶺を破って当選したのはごく普通の話。

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アメリカ軍の基地をどこにどのような形で置くかは日米両政府がお互いの国益と極東の安全保障環境に基づいて考え、決めること。一方沖縄県、名護市、沖縄県民、名護市民が考え、決めるのはアメリカ軍基地の存在を踏まえた上で地域をどう発展させるか。

一部のひとたちが日米両政府だけが考え、決められる事柄について沖縄県沖縄県民が決定権があるかのような幻想を吹き込んだことが沖縄の混乱の元凶。繰り返すがアメリカ軍の基地をどのように配置するかは沖縄県沖縄県民が直接考え、決める問題ではなく、日米両政府の判断に口を挟むのは不適切。今回の選挙結果がそういう当たり前のことが沖縄で理解される第1歩になれば嬉しい。

もちろん独立国の特定の地域、しかも複雑な歴史の横たわる場所に外国軍隊の基地が集中する状態を喜ぶひとはいない。日米両政府はアメリカ軍の基地、自衛隊の基地が「よき隣人」であるためにもっともっと汗をかく必要がある。「綱紀粛正」「再発防止」といった言葉の羅列ではダメ。目に見える行動を日米両政府が打ち出し、実行すること。

また権力者の不用意な発言は厳に慎まなければならない。確かに最近のアメリカ軍のヘリコプター事故やトラブルは沖縄県民の死傷者を出す事態ではなく、不時着は人身事故を避けた結果ともいえる。しかし「ひとが死んでもいないのに」みたいな物言いは余計で関係者の努力に水を差すもの。

統計で見れば在沖アメリカ軍基地、施設の整理縮小は軍隊のあり方の変化に伴い、着実に進んでいるし、同じ観点から駐留する人数が減っているので犯罪、問題行動の件数は減少傾向にある。ただ在沖の数字が減るといわば分母である総数も一緒に減るので全体に占める割合は高いままとなってしまうのだ。ともかく日米両政府が今後も協力して成果をあげ続けることが重要。その出発点であり核心なのが普天間基地の返還と代替施設の円滑な設置だ。