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山椒系ちょくの切り抜き帖

My Favorite Things【フィギュアスケートを彩るチャップリン。その自伝の面白さ】

チャップリンメロディはフィギュアスケート男子シングルの人気プログラム。すぐ思い出せるだけでも織田信成氏の2009-2010シーズンFS、ハビエル・フェルナンデス選手の2017-2018SPが挙げられる。

喜劇王」サー・チャールズ・チャップリン(1889-1977)は出演・監督映画の音楽を自ら作曲した。多くの場合、チャップリンがピアノで弾いたり、口ずさんだメロディを専門のアレンジャーが楽曲に仕立てたもの。街中に流れる音楽から当時の現代音楽まで貪欲に吸収したチャップリンの生み出した音楽、とりわけ映画「モダン・タイムス」のテーマ曲("スマイル")や映画「ライムライト」の主題歌(第45回アカデミー作曲賞受賞)は映画に直接なじみのない世代の人々の心もとらえている。

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チャップリンは晩年の1965年に自伝を書き上げた。日本語版タイトル「若き日々」はどん底の孤児から這い上がって映画界に入り、ハリウッドスターとなるまでの疾風怒濤の前半生、同「栄光と波瀾の日々」は功なり名を遂げたチャップリンの多彩な交遊関係とアメリカからスイスに逃れるまでを綴っている。「若き日々」が文句無しに面白い。人生ジェットコースター、漫画の主人公も裸足で逃げ出しそう。多少の誇張や記憶違いはあるだろうが、本当に自身で筆を執っただけあって迫真性たっぷり。ドキドキ、ワクワク、ハラハラに満ちている。「栄光と波瀾の日々」はチャップリンの「私のアルバム自慢」の趣でちょっとだれるが色々ありつつもこのひとは人間が好きだったのかなと思う。全盛期の共演者エドナ・パーヴィアンスへの敬意と愛情はほろりとする。

没後40年を迎えた2017年、この自伝の新訳が刊行された。フィギュアスケートチャップリンの音楽に出会った皆様、ぜひ一度「喜劇王」の人生を覗いて見て欲しい。

チャップリン自伝 若き日々 (新潮文庫)

チャップリン自伝 栄光と波瀾の日々 (新潮文庫)

大野裕之/チャップリン 作品とその生涯 (中公文庫)