「かわいそうな2番」の代表曲
3/1(2/28深夜)放送の日本テレビ系「読響シンフォニックライブ」は2018年1月31日に公開収録されたブルッフのヴァイオリン協奏曲第2番と黛敏郎のG線上のアリアというプログラム。読響コンサートマスター長原幸太のヴァイオリン独奏、外山雄三の指揮。
ブルッフのヴァイオリン協奏曲の場合、超有名な「第1番」に対し「第2番」「第3番」がコンサートで取り上げられる機会は殆どない。サン・サーンスの「第2番」以降のチェロ協奏曲同様、「かわいそうな2番」として不遇をかこっている。番組中のインタビューによれば長原幸太は子供時代にハイフェッツの録音で聴いて以来、ずっとブルッフの「第2番」を弾きたかったが、どのオーケストラからも断られたそうだ。この曲、不思議とレコード運はあり、モノラル時代のハイフェッツ、ステレオ時代のアッカルド、パールマン(2回録音)と名手の録音が並ぶ。同曲のコンサート映像を視聴するのは今回が初めて。
第1番が終わった後の続きみたいな第1楽章、瞑想曲調の第2楽章、後の「スコットランド幻想曲」の先触れと思える楽想の第3楽章・・・個々の楽章はしっかり山と谷のついた音楽でなかなか魅力的。ただ「この曲でなければ」というパンチに乏しく、そこがイマイチ光の当たらない理由だろう。長原幸太の演奏はやや細身の美しい音色でメロディを存分に歌い、長老外山の手厚いバックとのコントラストがきいていた。
黛敏郎のG線上のアリアは神秘的ムードの進行に師匠格の伊福部昭の影響を覗わせる佳品で「黛版ショーソンの詩曲」だと思った。過去に演奏経験のある長原の演奏はビートの刻みがうまく、作品の面白みに反応。外山のバックもグワッグワッとエネルギッシュで好調だった。
コンサートのメインからこぼれるピクルスをすくいあげた好企画。
《公開収録に行った方の感想》
ハイフェッツ/ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番&第2番、スコットランド幻想曲
Accardo/Bruch:Complete Violin Concertos,Scottish Fantasy
パールマン、ロペス・コボス/ブルッフ:スコットランド幻想曲 ヴァイオリン協奏曲第2番