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文化・社会トピック切抜き帖

【日米球春到来!】イチロー所属チーム決まる&精力的だった王会長

殿堂入り確実の大打者の新たな一歩

大リーグ通算3080安打(2017年シーズン終了まで)を誇るイチロー選手のシアトル・マリナーズ復帰が確実になった。44歳、打席での下半身の粘りやスピードの衰えは否めないものの守備、走塁面はまだまだ健在。目標の「50歳現役」の第一歩を踏み出せて良かったと思う。「イチ・メーター」のエイミーさんも喜んでいるようだ。

イチロー選手は2001年の大リーグデビューから2012年シーズン途中までマリナーズに在籍。首位打者盗塁王、10年連続200安打などの偉業を達成した。一方でイチロー選手在籍時期の後半にマリナーズは低迷、そのあおりで当時一部地元メディアから「イチローは個人成績優先の自己中心的選手で同僚から疎んじられている」という批判まで飛び出した。これは全く的外れなものだった。

もしイチロー選手が本当に「個人成績優先の自己中心的選手」なら絶対にWBC出場なんてしていない。というのもイチロー選手は毎年、キャンプ→オープン戦→3月から4月の公式戦までの時間を使い、ピッチャーの球を見ながらゆっくりその年の打撃フォームを作っていき、そして5月から本格的に打ち始める。従ってWBCの時期は本来調整の初期段階で本気で野球するなど「個人成績優先の自己中心的選手」なら断固拒否したいところだから。しかし実際のイチロー選手は率先して手をあげ、苦しみながらも節目の試合で効果的なヒットを放った。当然かなりのハイペースの調整をしたわけでシーズン後のインタビューで相当の「後遺症」があったことを明かしている。そうしたリスクを承知で日本の野球、日本代表チームのために立ち上がったのだ。

また「イチローはわがままで(マリナーズで)1番から3番への打順変更を拒否した」としばしば書かれたが、本当かどうか怪しい話。なぜならオリックス時代の1995年のシーズン後半にイチロー選手は仰木監督の要請に応じ、3番を打つことを承諾、2006年WBCの時も大島康徳打撃コーチの求めに応じ、途中から3番に座ったから。ちゃんとした人間が筋を通して話せばチームのために動く、それがイチロー選手。

当時メディアにおかしなことを言ったマリナーズの選手は、自らが試合に向けてイチロー選手ほどきちんとした準備をしていなかったのでイチロー選手に対して「ひとりだけいいカッコしあがって」というそれこそ身勝手なジェラシーを抱いたのだろう。往々にしてメディアは外様(この場合イチロー選手)に冷たく身内(アメリカ人選手)に甘いもの。日本でもタイガース、ドラゴンズでまま見られることだ。

今回、イチロー選手のマリナーズ復帰に関しての受け止めは概ね好意的と伝えられる。近年少しずつチーム状態は好転しているマリナーズイチロー選手とともにポストシーズン進出を果たして欲しいもの。

燃え続ける野球への情熱

2006年WBCの日本代表の監督を務め、イチロー選手から深い敬意を示された王貞治氏。現在77歳、ソフトバンクホークスの取締役会長兼GMとして忙しい日々を送っている。監督やコーチの立場に配慮してグラウンド上での指導には慎重姿勢だったが2018年のホークス秋季キャンプでは甲斐選手や上林選手を直接激励。さらに紅白戦では何と紅組のベンチ入り。2017年シーズンに頭角を現した甲斐、上林の両選手を選ぶあたりに王会長の「一層貪欲に」というホークスナイン全体に対するメッセイジを感じる。

普段のインタビューでは人当たりの柔らかい王会長だが「野球」「打撃」の4文字が絡んだ瞬間に眼の色が変わり、情熱漲る厳しい野球人に一変する。

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この眼。本当に野球が好きなんだと思う。