アフターアワーズ

山椒系ちょくの切り抜き帖

8/28黒田玲兎@真昼の月夜の太陽「星河の雫」【偉才の挑戦と音楽の深み】

作曲、ピアノ、ヴォーカル、アレンジ、演技の全てに卓越した多面体アーティスト、黒田玲兎のライヴに赴いた。

セットリストは・・・

彼の存在、パフォーマンスの魅力について下記の記事で取り上げた。choku-tn.hatenablog.com

今回はここ最近成果を上げている影山瑛一(ドラムス)とのデュオ編成にサウンドトラックを加えるスタイル。更に新しい試みとして「言葉の振る丘」と②でダンサーの五十嵐愛も登場する構成。短い時間、狭い舞台でここまで盛ると正直煩わしくなったり、意欲のみが空回りする可能性を懸念したが杞憂だった。ピアノ(+ヴォーカル)、舞踏、ドラムスの光と翳の交感は美しく、視覚上のバランスも適正。音楽の敷き詰める絨緞がしっかりしているので複数の要素の主張が高め合い、ひとつのピラミッドを築く。

また①と③は3月のライヴより一層練れて充実の出来栄え。楽想の変化に伴うピアノが奏でるリズムの刻み方のギアチェンジが巧み。①はポップ調の出だしは小粋に丸く、もう一つのロマン系のパートは少し重さを加えて。③は左手が奥行きのあるタッチで音形を彫り、右手が闊達な動きで縁取る。そのなかヴォーカルの声は伸び、明るい質感のなかに潜るやるせなさが痛かった。

インストの④では黒田玲兎の音楽を陰陽に色付けし、空間まで染め抜くテクニックが存分に発揮された。ここはドラムスの影山の対応力にも拍手。

そして⑤はきっぱりした展開の佳品。拡げに拡げた時間をうまく着地させた。

挑戦して盛り込んだものがいい形で舞台に投影され、核となる音楽の深化も果たす。素晴らしい一夜。

※文中敬称略