アフターアワーズ

山椒系ちょくの切り抜き帖

7/31:井上道義指揮、読売日本交響楽団【令和最初の名演に出会う】

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近年最高のコンサート。リズムの論理的処理の上で各パートは美麗に磨き込み、峻厳な響きを構築、展開した。第3楽章冒頭の低弦の刻みから高弦への移行の精妙さは身震いするほどで録音には収まらない水準。読響の強靭で機動力もあるアンサンブルが指揮者の求めに応えており、主張の濃さと普遍性がうまく均衡していた。#井上道義 #ブルックナー #交響曲第8番 #ノヴァーク版 #7月31日 #2019年 #令和元年 #フェスタサマーミューザ #ミューザ川崎 #ミューザ川崎シンフォニーホール #読売日本交響楽団 #読響 #クラシックコンサート #コンサート #クラシック音楽 #classicalmusic #bruckner

ここ暫くなかった身体の芯から「いいものを聴いた」という思いのわいた演奏会。リズムの扱いの論理性に支えられた峻厳で美麗な音楽。井上道義はスコア、先人のしてきたこと、自身の読みの連立方程式を完璧に解いた。読響の反応、日下紗矢子コンサートマスター率いる弦楽器の透明で音の粒の際立つさま、コクのあるティンパニオーボエの陰影、最高だった。

聴衆のマナーも最高で残響が完全に収束した後、熱い拍手と歓声がわいた。最後は団員が退いていくなか、指揮者とコンサートマスターが舞台に呼び出され、片付け中のティンパニストとともに大喝采を浴びた。

開演前のプレトークで版のことには触れないと言いつつ「ハース版にはちょっと余計なものがあるのと(師匠格の)チェリビダッケがノヴァーク版をだったので僕もノヴァーク版を使っている。ただ《あばたもえくぼ》でブルックナーがすごく好きなひとのなかにはハース版が好きというひともいる」と。

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ミクロの美感に執着し、音楽の到達点へ向かう各パートの役割分担の可視化を徹底する。余分なメッセイジや文学性は絡めない。ここはカラヤンとの共通項。時に仰々しい言葉で形容されるチェリビダッケだが録音で聴く限り、その音楽趣向は割とシンプル。第1楽章5小節目の改変(クラリネット→オーボエ)にはいつもギクッとする。チャイコフスキー悲愴のラストのティンパニ重ねといい、結構小技を使った。音質や一部の出来映え点は東京ライヴに分があるが聴衆のマナーはミュンヘンの圧勝ゆえこちらを取る場合が多い。#チェリビダッケ #ブルックナー #交響曲第8番 #emi #cd紹介 #音源紹介 #ライヴ録音 #クラシック音楽 #classicalmusic #ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団 #mphil #celibidache

またリハーサルでのカラヤンに触れ「もちろん眼なんかつぶらないし即興的な(音楽上の)身振りの面白さがあった。ただ彼は本番になると(真似しつつ)《指揮者》になってしまい、かなりオーケストラに《どうぞ》という感じだった」「カラヤンブルックナーは悪くない。色々悪口言うひといるけど」なんて話もしてくれた。

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マクロの美感に執着し、鳴り響きつつ動く音楽の形式美を徹底的に磨いた。精神論や物語性は削ぎ落とす。後の全集に先立つこと約10年前に単品で録音した。#カラヤン #ブルックナー #交響曲第9番 #1960年代 #dgg #ユニバーサルクラシックス #ドイツグラモフォン #セッション録音 #bruckner #classicalmusic #クラシック音楽 #karajan

そして1968年、ヴァントを迎えた読響が日本のオーケストラで初めてこの曲を取り上げた時にリハーサルを見た思い出に触れつつ、当時のヴァントの写真を掲げて「随分ジイサンに見えたけどまだ56歳。今の僕より若かったんだよね」。

ブルックナーはジイサンが振ったほうがいいという話がある。ある程度年齢を重ねないとうまくないと。まあダメなひとは一生ダメなんだけど」「(自身が)72歳になって思うのはある程度オーケストラに任せる、そのへんの加減が若い頃より分かってくる。そういうものがブルックナーには必要かもしれない。だからジイサンがいいのかな」「朝比奈さんが使っていたスコアを見たがテンポとか試行錯誤の形跡がすごくて色んなことをやろうとしていた。でも実際には(書き入れたことを)していない、できなかっただろう。色々考えた果てに、それが大事なんだけど、最後はオーケストラに《どうぞ》と預ける。それが彼のやり方だったのかと」とブルックナー演奏の極意に近い話までさらっとして下さった。

掛け値なしの名演奏。井上道義読売日本交響楽団に感謝したい。

井上道義(指揮) 大阪フィルハーモニー交響楽団/ショスタコーヴィチ:交響曲第11番

ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/ブルックナー:交響曲第8番(1988年11月)

ワレリー・ゲルギエフ(指揮) ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団/ブルックナー:交響曲第8番

※文中敬称略