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文化・社会トピック切抜き帖

My Favorite Things:サー・エドワード・ヒース『音楽-人生の喜び』【究極の二刀流】

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1980年刊行。元英国首相でロンドン交響楽団の名誉理事長を務め、指揮台にも上がったサー・エドワード・ヒースの音楽に焦点を当てた回想録。EEC加盟が決まった日にダウニング街10番地でひとりバッハを弾くシーンはいま読むと切ない。プレヴィン、バーンスタイン、メニューイン、スターンとの交流には彼らの音楽と人間の悲喜こもごもが活写されている。ヒース氏については没後ロッキード社との関係などスキャンダルが明らかになっており、やや複雑な気持ちになるが音楽のある人生の素晴らしさを実感する一冊。クリスマスキャロルはかの国では何より歌うものなのだ。#ヒース #英国首相 #イギリス #UK #ロンドン交響楽団 #バーンスタイン #プレヴィン #クリスマスキャロル #読書 #回想録 #メニューイン #スターン #表と裏 #ピアノ #バッハ #ダウニング街

ヒース氏はオルガンの奨学金でオックスフォード大学ベリオールカレッジに入り、オルガンを学び続けながら、政治への興味を深めた。また自身の地元でコーラスのクリスマスキャロルの指揮を務め、政界入り後もこの習慣は継続したという。首相就任時、ダウニング街10番地にピアノとクラヴィコードを持ち込んで話題となった。更に現職首相としてロンドン交響楽団の慈善演奏会に登板、エルガーの序曲「コケイン」を振った。

首相退任後は下院議員を務めつつ、本格的に指揮者との二刀流に乗り出し、ECユースオーケストラ(現EUユースオーケストラ)の設立に尽力した。1986年には指揮者として来日、早稲田大学交響楽団を指揮している。式典などで戯れに指揮台に立った政治家は何人かいるが真に政治家と指揮者の二刀流を演じたひとはヒース氏あるのみ。