アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

見逃せない日本の対北朝鮮経済制裁の水漏れ【外交の根本にあるまやかし】

古川勝久氏は国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会の専門家パネルのメンバーとして北朝鮮を巡る新規の流れの探索に取り組んだひと。そこから見えてきたものを『北朝鮮 核の資金源《国連捜査》秘録』(新潮社)にまとめた。

ときに日本は安倍首相が先頭に立ち、北朝鮮への国際的圧力強化の旗振り役を自任。2018年に入ってからの対話機運の高まりは日本などによる圧力の成果だと位置付けてきた。しかし古川氏の著書から浮かび上がるのは北朝鮮が核・ミサイルの開発資金を得られる背景の一つに日本の行政機構の問題や日本、日本人から端を発するネットワークがある事実。つまり日本とその周辺から「圧力強化」「経済制裁」は綻んでいるわけ。

この点はかねてから言われてきたこと。例えば細かいところだが櫻井よし子女史は日本で秋になると出回る「中国産」のマツタケの殆どは北朝鮮の偽装だと指摘していた。また北朝鮮は鶏肉の加工施設に力を入れており、日本のスーパーで安く売られている「中国産」の焼き鳥の実態は北朝鮮で加工されたものという説も根強い。

不可解なのは日本の野党、メディアが全く日本の経済制裁の水漏れを指摘しないこと。安倍内閣外交政策の核にまやかしがあるわけだから政権への打撃は森友、加計、財務省のセクハラよりずっと大きいのに。結局野党には国を体現する責任感がなく、メディアは瑣末なスキャンダルを面白がるだけ。