アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

8/23東京ピアノ爆団@吉祥寺【ロマン、翳り、熱狂】

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今夜は東京ピアノ爆団。コンサート全体にまとまりがあって前回の参戦より楽しめた。ピアノ連弾(三好駿+高橋優介)のツァラトゥストラにうっとり。シュトラウスが盛り込んだ「仕掛け」をピンポイントで透かし彫り。作曲術のしたたかさを再認識。ソロではやはり高橋優介の格が違った。#東京ピアノ爆団 #鶴久竜太 #高橋優介 #水野蒼生 #ピアノソロ #ピアノ連弾 #クラシカルdj #クラシカル音楽 #吉祥寺スターパインズカフェ #三好駿 #三好タケル #ツァラトゥストラはかく語りき #リヒャルトシュトラウス #目の覚める技

公演の性質、内容についてはこちらを参照。

choku-tn.hatenablog.com

今回は主宰・クラシカルDJの水野蒼生が軽く音楽を回しながら出演ピアニスト3人を紹介、それぞれが楽曲のワンフレーズを弾く粋な演出からスタート。

三好駿&高橋優介

リヒャルト・シュトラウス:交響詩ツァラトゥストラかく語りき」

「イタリアから」などは連弾版をCDで聴けるが「ツァラトゥストラかく語りき」のしかも全曲をピアノ連弾とは前代未聞だろう。 

映画「2001年宇宙の旅」で使われた導入部があまりに有名だが本作の真の魅力は複数の動機が絡みながら、「人間」と「自然」の関係を神秘的かつ艶やかに暗示する楽想の展開。そうしたシュトラウスの巧妙な管弦楽サウンド構築の手捌きを2人はピアノで落差の大きい起伏をつけながら、クリアに描き出す。「喜びと情熱について」の寄せては返す音彩の波、「墓場の歌」の弦楽器のソロ、「学問について」~「病より癒え行くもの」のフーガ、「舞踏の歌」のワルツやヴァイオリンソロ、そしてラストに向かってはらはらと崩れた後の闇・・・オーケストラで聴ける効果がピアノにより一層実感できるという逆説の面白さ。身体の揺れを抑えきれなかった。

水野蒼生

EMOTIONAL ORCHESTRA MIX 2018

リヒャルト・シュトラウス:英雄の生涯ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」からジークフリートのラインへの旅、マーラー:交響曲第2番が軸。体感してないひとに魅力を伝えるのは難しい性質のパフォーマンスなので9月発売のアルバムを楽しんでほしい。

Aoi Mizuno/Millennials -We Will Classic You-

三好駿

シューマン:アラベスク

ドビュッシー:喜びの島

一音一音の見通しがよく柔らかい音楽運びを見せた。得意の喜びの島は美麗。

鶴久竜太

スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番

過去にこのイヴェントで弾いた(未聴)曲だけあってこなれた内容。静かなフレーズのしめやかさに独自性。ただ分厚い和音や横方向の動きの頻度が増すと若干弱さが出る。クラシックよりウェストコースト系のジャズに持ち味を発揮しそうな奏者。

ピーター・ドノホー(p.)/スクリャービン:ピアノソナタ第2番

高橋優介

クライスラーラフマニノフ編曲):愛の悲しみ、愛の喜び

バカテクに加え、叙情味や色気までテストされる難物を快刀乱麻の切れ味で事もなげに弾き倒す。強靭な光沢のあるタッチ、細かい音形の出し入れの妙、山場で花開く千変万化の打ち上げ花火。更なる期待が膨らむ異次元のヴィルトゥオーゾ

ホルヘ・ボレット/クライスラー(ラフマニノフ編)愛の悲しみ、愛の喜び

クライスラー&ラフマニノフ/ソナタ名演集

セルゲイ・ラフマニノフ/ラフマニノフ・RCA・コンプリート・レコーディングズ

~アンコール~

三好駿-鶴久竜太-高橋優介

ラフマニノフ:6手連弾のためのロマンス

ベートーヴェン:交響曲第2番第3楽章(+クラシカルDJ)

ウィーン・ベートーヴェントリオ/ベートーヴェン:交響曲第2番(ピアノ三重奏曲版)

前半にいわばメインディッシュ、後半は各人のお薦め料理を出すメニューの組み立てが成功。2時間半の長丁場ながら流れの良さを感じさせた。

出演者と会場が一体で燃え、盛り上がるクラシックコンサートは希少なので地道に続けて欲しい。