1960年近辺の音源、ワーグナーの序曲・前奏曲集やシュトラウスの交響詩はクレンペラーが逞しい各パートを自在に操り、ガチッと起伏をつける。フィルハーモニア管弦楽団全盛期の名人芸も聴きもの。最晩年(1969,1970)の楽劇「ワルキューレ」第1幕と第3幕フィナーレは骨格がやや危うい反面、質感の瑞々しさ、一音一音を色付けし輝かせる技に魅了される。至高の境地。
クレンペラー指揮/ワーグナー: 「ワルキューレ」第1幕, 同第3幕よりヴォータンの告別~魔の炎の音楽, ヴェーゼンドンク歌曲集, 「トリスタンとイゾルデ」よりイゾルデの愛の死, ジークフリート牧歌<タワーレコード限定>