2008年にアルツハイマー病を公表、2011年に83歳で逝去したフォーク。本書は2006年原書刊行なので晩年、事実上最後の公的な発信。時系列の一貫性はあまりなく、結構ほかのひとの話に脱線しがちだが内容の面白さに救われる。でも蛇行や脱線がひょっとしてアルツハイマー病の前兆かも想像すると・・・最後は自身の演じた役柄も分からなくなっていたそうだから。これだけのひとを蝕んだ病の恐ろしさ。
たくさんの挿話から伝わるのはフォークが共同作業(カセヴェテス、マクグーハンとの絆が代表格)を重んじ、一緒に仕事したひとたちを大切にしたこと。失礼ながら長身でも、美男子でも、美声でもないフォークが俳優道を極められたのは情熱、知性に加えて共演者や制作者との響き合いを重視する姿勢が理由だと感じた。