アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

More→逆しまな歯車を仮面が嗤う。【黒田玲兎が加わり面目一新】

キーボード・ピアニスト、作編曲家、詩人、ヴォーカル、演者…多彩な才能を縦横無尽に反射させ、艶と翳の響き合う音楽世界を繰り広げる黒田玲兎については以前から取り上げてきた。
彼が6月に「逆しまな歯車を仮面が嗤う。」というバンドのメンバーになった。この長い名前のバンドはかねてMoreの名で活躍してきた4人組。私自身生で聴いた記憶もある。
白灰色の質感のヴォーカルに繊細な音構造、リズムの切れを持ちつつ、しっかりした骨格で拡がるサウンドが折り重なる音楽は心に残った。それだけに注目してきた黒田玲兎をメンバーに加え、しかも名を改めたのは二重の驚き。
既に彼らは黒田玲兎を加えた編成でMore名義の配信ナンバー「Singin'in the rain」をレコーディング済だが、7月1日に改めて新名義&新編成の配信シングル「MASK」を送り出す。そしてここから12ヶ月連続で配信シングルをリリースするという。
open.spotify.com早速2曲を聴いた(「MASK」は6月26日にNACK5で放送)が黒田玲兎のキーボードの瞬きでサウンドに輝きや翳が加わり、詩心を音で歌う。バンド総体としてはゴージャスさに射し込むほの暗い音色、ひとりひとりの鋭敏な感覚、それを響きに昇華する高い技術がうかがえる。
とりわけベースのen'yaは塩谷朋之という本名でも活動する文字通りの大型ベーシスト。細部まで血を通わせながら雄大で強靭な音楽を奏でる、破格の才能の持ち主。
ちなみに塩谷氏が中心的存在だったバンド、12012は休止していたが同じく今年6月に新たな編成でリスタートした。久々に聞く音楽絡みでワクワクする話題ゆえ、ここからの展開が楽しみ。やはりこういう音楽はライヴパフォーマンスが伴ってこそ浸りきれる。状況が整って生で味わえる日を待ちたい。
※文中一部敬称略