あけましておめでとうございます。いつも御覧の皆様ありがとうございます。
クラシック音楽や書籍を中心に読んだ方の文化的感性を少しでも刺激する発信ができればと存じます。
新年最初の記事のテーマはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサート。
元々ナチスがオーストリア併合への不満を抑えるために始めたもの(1939年12月31日)で、黎明期の指揮者はクレメンス・クラウス(1893~1954)とヨーゼフ・クリップス(1902~1974〔クラウス活動停止中の2回〕)。
クラウス逝去後の1955年~1979年はヴィリー・ボスコフスキー(1906~1991)、ボスコフスキー勇退を受けて1980年~1986年はロリン・マゼール(1930~2014)。
そして1987年のカラヤン以降は各時代を代表する指揮者が登板してきた世界一有名なクラシック音楽イヴェント。
往年の指揮者による名演と過去10年のコンサートから個人的お気に入りを取り上げる。
別格の4人(ボスコフスキー/カラヤン/カルロス・クライバー/プレートル)
ディスク冒頭の「くるまば草」序曲はブラームスとの逸話(恐らくフィクション)で知られる。
ウィンナワルツの醍醐味を一期一会のコンサートに盛り込んだプログラム。ウィーン少年合唱団以外の声楽ソリストが出演したのも2023年現在空前絶後。
Blu-ray Disc カラヤンの遺産 ニューイヤー・コンサート1987
CD New Year's Concert 1987/Herbert Von Karajan
コンサートの性格を考えるとこの張り詰めた空気は異質だが、抗い難い魅力。
クライバーは幕開けのニコライ:「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲の自筆譜のマイクロフィルムを取り寄せて確認したという。
オッフェンバックからの引用のある作品やパリにちなんだ曲の入った、指揮者の色とシュトラウスの器用さ、時代性を伝えるプログラムだった。
近年の「割とまし」な演奏(メータ/故ヤンソンス/ムーティ/ティーレマン)
イヴェントを上品に盛り上げる指揮者としてはナンバーワン。
生粋のウィーンスタイルの身についた数少ない現役指揮者。
Blu-ray Disc Neujahrskonzert - New Year's Concert 2015
CD Neujahrskonzert - New Year's Concert 2015
マリス・ヤンソンス(1943-2019)はウィーン・フィルの名誉団員。
いずれの名門楽団とも付き合いの良かった人格者。
CD Neujahrskonzert - New Year's Concert 2016
引き締まった進行、気迫漂う歌い込み、スコアへの忠誠心の徹底さに敬服するも、どこか硬さのつきまとうひとだが、この頃から柔軟性が出始めている。
Blu-ray Disc Neujahrskonzert - New Year's Concert 2018
CD Neujahrskonzert - New Year's Concert 2018
2024年はこのクリスティアン・ティーレマン(1959~)が指揮台に立つ。
上記2019年のコンサートの生中継を見た当時の感想はこちら。
いまウィーン・フィルとブルックナーの交響曲全集録音を継続中のティーレマン。
65歳を迎える年の初めにどんなタクト捌きを見せるか。