第147回全英オープンゴルフ選手権(カーヌスティゴルフリンクス)、2017年全英シニアオープン覇者のベルンハルト・ランガーが73-71=144(2オーバー)で予選通過を果たした。60歳以上の選手の全英オープン予選通過は2014年大会のトム・ワトソン以来。
ドイツ人プロゴルファーの草分けとしてマスターズ2勝、欧州ツアー42勝を挙げたランガーは全英オープンで2位2回・3位4回を数えたが勝てなかった。1984年には目の前でセベ・バレステロスの伝説のウィニングパットを見せつけられた。
この後バーディパットを入れ返したランガーだが2打差の2位。すっかり引き立て役に回ってしまった。
この戦いから約35年。セベは1990年代半ば以降低迷、その後病に倒れて2011年に54歳の若さで逝去した。一方ランガーは息の長い活躍を続けている。とりわけ50歳以降のチャンピオンズツアーでの勝ちっぷりが破格。全英シニアオープン3勝を含むシニアメジャー10勝はニクラウスですら成しえなかった偉業。
端正なマスクからくるイメイジと違い、子供の頃から近所のNATO軍のゴルフ場でキャディをし、中学卒業後にプロ入りしたランガー。日本の青木功や杉原輝雄と似た経歴。生活のため、2年間軍務についたが訓練中に腰を痛める苦い経験も。
ときに感情を出したセベと異なり、いつも表情を崩さない。しかしその内側には並々ならぬパッションが渦巻いている。栄光も屈辱も全て胸の中に畳んで前を向いてきた。
どんなにチャンピオンズツアー、シニアメジャーで勝っても「得意にしながら勝てなかった」全英オープンへの思いは燻っているのだろう。
第3ラウンドは同組のスペインの若手カブレラベロを圧倒する内容の3アンダー、68をマーク。14番ホール、ハイブリッドでピタリとつけてのイーグルは圧巻だった。