2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧
「伝説」をあえて否定した誠実な人柄 若き日の羽田孜元首相は小田急バスの観光課員だった。その時「歴史散歩」「文学散歩」などのバスツアーを羽田氏が考案したという「伝説」が政界進出後に作られた。サラリーマン出身の政治家は大体こうした伝説を利用する…
日本人演奏家紹介のパイオニア 10指に余る朝比奈隆のベートーヴェン交響曲全集録音 ②1977-1978年ライヴ ③1985年ライヴ ⑤1988-1989年ライヴ ➅1991年ライヴ(第9番)、1992年ライヴ(第3番・「レオノーレ」序曲第3番と第5番)、1992年セッション(第1,2,4,6-8番…
端正な佇まいに宿る屈折と哀感 近衞秀麿(1898-1973)は、晩年に読売日本交響楽団と共演してベートーヴェンの交響曲3曲、シューベルトの交響曲第8(7)番、ドヴォルザークの交響曲第9番などをセッション録音した。このうち最も感銘の深いのがドヴォルザーク…
ストーリーと音楽を巡って 以前に取り上げた田代伶奈、水野蒼生、三好駿(順不同・敬称略)の鼎談にこんなやり取りがある。 -引用開始- 水野 ヒットする人は「ストーリー」を持つアーティスト。みんな物語を持っているけど、例えばベートーヴェンが聴覚障害を…
日本文学史上屈指の傑作 8月14日、NHK-Eテレ「100分de名著」は大岡昇平の『野火』の2回目だった。『野火』は言わずと知れた日本文学史上の傑作。飢えが覆い尽くす戦場での人間の暗部、異様な心理を簡潔な文体によって抉り抜く。私見だがこれ一作で大岡昇平は…
戦後72年なお残る原爆の影 2017年8月14日のNHK総合「ニュースウォッチ9」で東京都にある被爆者相談所を取り上げていた。高齢となり健康不安におびえるひと、長年逡巡した末に原爆症の認定を受けるひとなど悩める被爆者たちの声とそれを聞く相談員が描かれた…
「20世紀の名演奏」の記憶 クラシック音楽にハマって間もない10代後半、NHK-FMの「20世紀の名演奏」をよく聴いた。日曜の朝、故・黒田恭一さんの「おはようございます。黒田恭一です。20世紀の名演奏です」に始まり、「今日もお気持ち爽やかに、毎日をお過ご…
2017年5月6日のNHK-FM「N響ザ・レジェンド」で池辺晋一郎氏が園田高弘さんとのエピソードを話した。 「(ある若いピアニストが)《ラヴェルのピアノ協奏曲を弾いていると海が見える》と話した。いい言葉だと思って園田さんに話したら《ラヴェルと海は何の関係…
元々「ゴルフ世界一決定戦」だった試合 世界ゴルフ選手権(WGC)ブリジストン招待の最終ラウンドで松山英樹選手がコースレコードタイの61(-9)をマークして逆転優勝。マキュロイ、ザック・ジョンソンなどのメジャー覇者をショットの力によって抑えた鮮やかな…
7月18日のブログで哲学者・田代伶奈、指揮者・水野蒼生、ピアニスト・三好駿(順不同・敬称略)の鼎談 nebulaph.com について書いた(若い哲学者+若い音楽家の対話【O.E.Tの先にあるもの】 - アフターアワーズ)。この時は簡単な紹介にとどめたが示唆に富み、学…
名実ともに「さあ、働こう内閣」 河野太郎外務大臣、林芳正文部科学大臣、茂木敏充経済再生担当大臣など発信に長けた実力者を多数迎え、防衛大臣は経験者の小野寺五典氏に委ねた。他の閣僚もおおむね所管分野の政策作りの経験があったり、党や国会で汗をかい…
昔も今もドイツ、オーストリアのオーケストラはシベリウスが嫌い。田舎者の書いたよく分からない音楽と受け止めるのか、ベリルンドがベルリンフィルでやればメンバーが指揮者には敬意を払いつつ、「変なスコアだ」などと記者にボヤいたし、晩年のバーンスタ…
前回のブログで記した通りO.E.T(オーケストラ・アンサンブル東京)の結成記念公演が7月20日に行われた。私は残念ながら当日伺えず、やむなく母を代打に立てたが成功と言える内容だったようだ。 響きの扉を開けた日【O.E.T@7/20"Opening"】 - アフターアワー…
Facebookで同名のアイテム紹介コラムを書いてきた。今回からこちらに引越し。 【My Favorite Things:Facebook時代まとめ】 - アフターアワーズ 日本に愛されなかった大指揮者 サー・ゲオルク・ショルティは日本のクラシック音楽ファンと相性の悪い指揮者。 ま…