アフターアワーズ

山椒系ちょくの切り抜き帖

人生模様

大平正芳没後40年【運命に殉じた謙抑の政治家】

「権力はそれが奉仕する目的に必要な限りその存在が許されるものであり、その目的に必要な限度において許されるものだということだ」「国民は百利を興すことに汲々たる大臣よりは、一害を除くことに心胆をくだいてくれる大臣をもとめているのである」1980年6…

※6/14まで+web展示あり※現代印象派画家KOH個展【放射する光に包まれる】

Login • Instagram 今までは光に向かってエネルギーの結実する、見る側が吸い込まれていく画風だったが、最近は中心から光が放たれ、見る側を包容する雰囲気に感じる。細部の磨き込みもより洗練度を増した。クールな感触に愛おしさ、暖かみが宿る。 6/14まで…

追悼サー・スターリング・モス【大快挙と「騎士道」】

2020年4月12日に90歳で逝去した元レーシングドライバーのサー・スターリング・モスは1950年代から1960年代初頭にF1世界選手権とスポーツカーレースで活躍。F1では66戦に出走してモナコグランプリ3勝を含む通算16勝、1955年~1958年の4年連続でドライバーズラン…

骨の髄まで野球人だった【野村克也さんをしのぶ】

選手として3,017試合に出場、監督通算1,565勝1,563敗76分け。現役、監督ともに3,000試合出場。これほど野球が好きなひとは空前絶後かも。幼くして父親を惨めな死にざまで失い、貧しさから這い上がるべくもがきにもがいて、プロ野球入り。そして苦労と探究を…

気鋭のチェリスト三井静【名門ミュンヘン・フィルの一員に】

齋藤秀雄、堤剛から連なる歴史を見ても明らかなように日本は数々の個性的な名手を生んできたチェロ大国。近年は伊藤悠貴、岡本侑也、前記事に登場した佐藤晴真など世界基準で真っ向勝負できる高い技術を持つ若手奏者が次々活躍中。今回取り上げる三井静(199…

石原慎太郎が呼んだ!?マゼール指揮の「トリスタンとイゾルデ」【ほの暗い響きのうねり】

浅利慶太、石原慎太郎が財界の大物と組んで幕を開けた日生劇場。その残照は現在も残っている。浅利慶太は7月13日に85歳で死去。#浅利慶太 #石原慎太郎 #石原愼太郎 #文春文庫 #日生劇場 #ベルリンドイツオペラ #武智歌舞伎 #武智鉄二 #わが人生の時の人々 #…

※告知※2019/10/13第6回園田高弘Memorial Series「ロマン派撰集」【没後15年】

日本が生んだ偉大なピアニスト園田高弘(1928-2004)の遺徳をしのび、ゆかりのあったピアニストがリレー方式で演奏を披露するコンサートが今年も行われる。 2018年のコンサートの様子。 choku-tn.hatenablog.com 2019年のテーマはロマン派撰集。生前の園田が…

【夏休みスペシャル】タクトの残影~元ヴィオラ奏者の語る平成の読響

はじめに 前史:昭和末期から平成初期の読響 ゲルト・アルブレヒト:躍進の立役者 ゲンナジー・ロジェストベンスキー:マジシャン スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ:偉大な音楽の体現者 終わりに:「令和の読響」へ アンコール:マゼールの「復活」の思い出 はじ…

ジェラルド・ジャーヴィスの面影【名コンサートマスター、日本との縁】

美しいハーモニーで聴かせる。響きの切り返しの硬さがこの指揮者の欠点だったがジェラルド・ジャーヴィスがリードする都響はしなやかに動く。第2部前半の深い翳、後半の清澄な盛り上がりは今もって高い説得力。#若杉弘 #東京都交響楽団 #フォンテック #マー…

『ピーター・フォーク自伝』【情熱とインテリジェンスにあふれた名優の気取らぬ言葉】

機知、ユーモア。名だたる映画人たちとの出会いや別れが語られる一方、傍目から見れば凡庸なひとも結構大事に扱う。もちろん刑事コロンボの話はたっぷり。あともうひとつだけ、リアル「うちのカミさん」(2番目)の強烈キャラに苦笑い。2006年(日本語版2010…

清水和音/ショパン、リスト:練習曲集【ピアニストは演奏してこそ】

練り上げた美音、キッパリと刻むリズム、しなやかな輪郭。心地好いピアノサウンドの極点。片桐卓也の脱字だらけのライナーノーツは最悪。#清水和音 #ショパン #リスト #ピアノソロ #練習曲 #夕べの調べ #ため息 #ソニークラシカル #cd #クラシック音楽 #技巧…

【Hatena Blogお題投稿】秋の夜長に読む本2018

今週のお題「読書の秋」 昨年に続いて。 choku-tn.hatenablog.com 1.堤清二(述)、御厨貴、橋本寿朗、鷲田清一(以上編集)『わが記憶、わが記録-堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』(中央公論新社) 子供の頃、親に連れられて「セゾン文化」の全盛期を肌で…

※12/28目標達成※内なる声に導かれて【トランペット奏者・田尻大喜が音楽で目指すアフリカ支援】

熊本県出身、小中学校時代の一時期はケニアで過ごしたトランペット奏者・田尻大喜(作曲家としては桃尻大喜名義)。彼が思い出の地、ケニアの子供たちに音楽を届ける事業の実現のため、クラウドファンディングで資金集めを始めた。 readyfor.jp アフリカ支援…

バーンスタイン作曲・指揮「チチェスター詩篇」(1965)

還暦を記念したアルバム。この時期のバーンスタインには舞台作品の失敗、夫人との別居から永遠の別離による終幕と殆どいいことがなかった。三浦淳史さんがライナーノーツで別居の理由を「天才のライフスタイル」としているのは奥ゆかしい。チチェスター詩篇…

メモで築いた危機管理の要諦【佐々淳行さんをしのぶ】

「ミスター危機管理」佐々淳行氏が10月10日に逝去、87歳。自慢話の多い面はあったが「国益重視」「治安を守る」という視点を分かりやすい言葉で広く知らしめた功績は大きい。R.I.P.#佐々淳行 #文春文庫 #読書 #訃報 #危機管理 #後藤田正晴 #戦後史 #10月10日…

ゲルハルト・ベルガー、人生の勝利者【Racing on#497】

F1を熱心に見ていた頃、1番好きだったドライバー。ベルガーがもたらしたホンダ第二期最後の優勝に生中継で接し、ジーンときたのを覚えている。#レーシングオン #racingon #三栄書房 #雑誌 #f1 #f1世界選手権 #ベルガー #ゲルハルトベルガー #マクラーレン #m…

阿川弘之『雲の墓標』【時代設定に胡座をかかず普遍性で読ませる筆力】

極限状況に寄りかからず、普遍性のある人間心理の美醜、葛藤、組織の歪みを簡潔な骨格で透かし彫りした。それゆえ感銘は深い。無粋な背景説明がなく日記、手紙という当事者目線がメインなのも成功。文庫版の解説は安岡章太郎。昔読んだ本より字が随分大きく…

85歳の中西太氏が始球式【8/18第100回全国高等学校野球選手権大会】

「怪童」といわれ、西鉄ライオンズ黄金時代の主砲として数々の伝説を残した中西氏。見事な投球を披露した。 なんと1951年大会でプラカード嬢をしていた女生徒との再会まで。 www.asahi.com www.asahi.com 新人時代に打撃投手をしていた稲尾和久氏いわく中西…

阿川弘之『乗りもの紳士録』【ひとは乗り物で遊ぶ】

さっぱりした文章が心地好い乗り物を触媒とした交友録。遠藤周作、斎藤茂太、横山隆一、吉行淳之介などなど。海軍絡みのエピソードも。#阿川弘之 #随筆 #交友録 #読書 #中公文庫 #関川夏央 #遠藤周作 #豪華登場人物 #こざっぱり #乗り物

「あなた買います」のモデル、元ホークス・穴吹義雄氏逝去【自由競争だったあの頃】

鶴岡一人・元ホークス監督は1984年4月に執筆した日本経済新聞文化欄の「私の履歴書」で次のように記している。 プロ野球は昭和40年秋、各球団の戦力均衡と契約金高騰ストップを目指して、新人選手獲得にドラフト制度を採用した。それまでのスカウト合戦はすさ…

【再掲】『村山富市回顧録』2018年1月文庫化

革新の中で何かを成したと言える数少ない政治家。他には飛鳥田一雄氏くらい。筋は硬いが独特の狡さがあって現実とうまく折り合いをつけた。それが社会党、社民党の衰退に繋がったのは皮肉。原書は2012年5月刊行、2018年1月文庫化。#村山富市 #元首相 #岩波現…

江夏豊『燃えよ左腕』【不滅の奪三振王、その半生】

著者の愛読書『燃えよ剣』(司馬遼太郎)をもじったタイトルが泣かせる。波乱の生い立ちから左腕で掴んだ栄光と暗部まで。朴訥な語り口に計り知れない情熱、探求心、強烈なプライドが滲む。読み手の身体を熱くする1冊。#江夏豊 #阪神タイガース #南海ホーク…

船村徹さんの人生の伏流水【私の履歴書】

高野公男さんの存在、友情と死が、本書そして船村徹さんの人生の核心。その通奏低音は美空ひばりさんや村田英雄さんとの挿話から演歌巡礼へ繋がる船村さん単独の物語にも流れ続ける。#私の履歴書 #船村徹 #日本経済新聞社 #読書 #演歌 #歌謡曲 #高野公男 #美…

ベルンハルト・ランガーの燻る思い【60歳で全英OP予選通過】

第147回全英オープンゴルフ選手権(カーヌスティゴルフリンクス)、2017年全英シニアオープン覇者のベルンハルト・ランガーが73-71=144(2オーバー)で予選通過を果たした。60歳以上の選手の全英オープン予選通過は2014年大会のトム・ワトソン以来。 mycaddie.…

【第159回芥川賞】高橋弘希さん、4度目の正直

高橋弘希さん、第159回芥川賞受賞!3年前から注目していたので嬉しい。同世代だし。簡潔な言葉遣いの研がれた文面にはゾクッとする陰影がたちこめる。死への感受性の強さ。中村文則氏以来、久々に逸材と言える作家の受賞。#高橋弘希 #芥川賞 #第159回芥川賞 …

園田高弘『ピアニスト その人生』【生涯現役の厳しい道】

演奏家としての矜持、カラヤンやチェリビダッケとの共演、欧州での苦労。日本語で読めるピアニストの自伝の最高峰。日本人の演奏家による著作物の頂点。基になった日本経済新聞「私の履歴書」のためのインタビューをまとめた池田卓夫氏の手腕の賜物。余白の…

メータ指揮、LAPOの「ロマンティック」(Decca)【早く来すぎた全盛期】

ブルックナー(LAPO)が1970年、ワーグナー(WPh)は1966年のセッション録音。パリッと鳴る麗々しい響き。溢れるガッツと品の良さがうまく併存。メータの全盛期はここからの10年ほどだった。#クラシック音楽 #ブルックナー #ロマンティック #交響曲第4番 #19…

石原慎太郎が「群像」で連載小説開始【怨みは消えた?】

石原慎太郎、作家生活60年余にして初めて「群像」誌に執筆!しかも長年書く書くと言ってきた家族小説の連載。奇しくも瀬戸内寂聴の連載も開始。#文芸誌 #雑誌 #群像 #講談社 #石原慎太郎 #石原愼太郎 #湘南夫人 #瀬戸内寂聴 #水に流す #小説 #2018年8月号 #…

石原慎太郎・瀬戸内寂聴『往復随筆 人生への恋文』【密やかな交歓】

涙、夢、不可知なるもの…ひとの行く道に絡む様々な要素を二人の大人が綴り合う。どちらも簡素な骨格で行間の表情が豊か、深い余韻。脱帽。#文春文庫 #読書 #石原慎太郎 #瀬戸内寂聴 #立木義浩 #往復随筆 #随筆 #文士 #2008年 #大人の味 #石原愼太郎 #異種格…

落語と故郷への愛を貫いた努力のひと【桂歌丸さん逝去】

嗄れ声なのに品を感じさせる端正な芸風の持ち主。正直言って長いこと「5代目圓楽とよくネタを交換したひと」という認識で従って高座を聞いたのも2回だけ。晩年圓朝ものに傾倒したが本当は軽いものが合っていたと思う。 5代目圓楽や米朝の色気も談志のカリス…