アフターアワーズ

山椒系ちょくの切り抜き帖

片山晋呉の罪深い無自覚

忘れ得ぬチャンピオンズツアーの出来事

15年ほど前、チャンピオンズツアーの「エースグループクラシック」のテレビ中継でビックリする光景を見た。トム・ワトソンとジャック・ニクラウスの両選手がホールアウト後、ギャラリーのサインに応じている。驚いたのはその様子、雰囲気。ギャラリーたちは意外と気楽に「トム!」「ジャック!」と呼びかける。それに対して2人は「Thank you」と返しながらサインするのだ。

また10年ほど前のやはりチャンピオンズツアーの話。トム・ワトソンは地元カンザスシティで行われる試合を娘の卒業式出席のために欠場した。しかし本番前のプロアマには出たのだ。プロアマがトーナメントスポンサー関係者や地域の有力者の集うイヴェントだとは知っていたがその大事さをワトソンの行動から教えられた。

この2つの話で分かるのはツアー、トーナメントはスポンサーとギャラリーの支えがあってこそ成り立っている事実に対する選手のしっかりした自覚。チャンピオンズツアーの隆盛は顔ぶれや賞金だけによるものではない。

片山晋呉は日本ゴルフツアー低迷の「功労者」だった

翻って2018年の日本ゴルフツアー選手権のプロアマ戦で起きた事件を考えてみる。

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リンク先記事にあるとおり現在日本ゴルフツアーは最盛期の約6割の試合数。それもこの15年の間に大きく減少した。実は試合数の減少過程は片山晋呉がツアー優勝を重ね、賞金王に複数回輝いた時期とピッタリ重なる。通常強い選手の存在は当該スポーツの隆盛につながるもの。例えば米PGAツアーの場合、タイガー・ウッズの出現以降賞金総額はうなぎ登り、1シーズンで10億稼ぐ選手も珍しくない。日本は逆で片山が勝てば勝つほどツアーは衰退していった。もちろん経済状態の影響もあるがつまるところタイガー・ウッズと片山のプレーヤーとしての魅力の差に行きつく。つまり企業は片山晋呉が中心の日本ゴルフツアーに大金出して協賛するメリットを見いださなかった。

問題は片山自身を筆頭に日本ゴルフツアーの選手がこの事実に無自覚だったこと。「AONの遺産」でいくつかの高額賞金の試合は維持されたので昔と同様、自身のタニマチと有名人にだけ媚び売っていればいいと考えていたのだ。

「おもてなし」を掲げた日本女子ツアーの人気向上、数年前に石川遼松山英樹の登場で一時的に日本男子ゴルフへの注目が回復し、それに伴い今までゴルフと縁遠かった人々を含む色々な層からの声がツアーに届き始めたことでようやっと動いたのは最近の話。宮里優作・前選手会長がファンとの触れ合い方を再検討し、2017年には自ら賞金王となって話題を集めた。そして2018年から米ツアーの経験もある石川遼選手会長に就いて人気回復への本格的取り組みを始めた。

しかし片山を筆頭とするベテラン、中堅選手に染みついたスタンスがすぐ変わるわけはない。今回の事態はその象徴。石川、松山の世代がツアーの中心を占めるまで本当の意識改革は困難だろう。「無自覚の罪」は恐ろしく深かった。