2017年が没後40年だった指揮者レオポルド・ストコフスキー(1882-1977)のデッカ録音BOX。
豪華絢爛たるバッハ編曲集やロシア物、意外にスマートなシューベルト「未完成」まで聴きどころテンコ盛り。1972年のロンドン交響楽団との60周年記念コンサートを「アンコール」アルバムの再編集版と繋げてほぼオリジナルの形で聴けるのは嬉しい配慮。ボーナスCDにコンサートのスピーチ(過去にCALAからCD化)も収録。
10代の頃、耳にタコができるほど聴いたロンドン交響楽団とのワーグナー「指環」管弦楽ハイライト。類盤と抜き出し方が若干違い、楽劇の途中だとさりげなく意識させる。「森のささやき」のカラフルな瞬き、おどろおどろしい「ジークフリートの葬送行進曲」は改めてドキドキした。
なお、ネット上に「ロンドン交響楽団」とクレジットされているラフマニノフの前奏曲作品3-2のオーケストラ版(浅田真央さんがフィギュアスケートで使って有名になった)はチェコ・フィルハーモニー管弦楽団。ブックレットなどの表記はちゃんとしている。この曲を含む同管弦楽団との1972年ライヴ録音はBOX内のCDをうまく出し入れすれば実際の曲目通りに追体験可能。
過去のCDに比べて音質は改善され、耳当たりが優しくなったので聴感の異様さに惑わされずに怪物指揮者のあの手この手で聴き手に迫る業師ぶりを堪能できる。
レオポルド・ストコフスキー~DECCA録音全集-Phase 4 Stereo<限定盤>