エフゲーニ・スヴェトラーノフ指揮、NHK交響楽団/ベートーヴェン:交響曲第9番
佐藤しのぶ〔ソプラノ〕
永井和子〔アルト〕
市原多朗〔テノール〕
多田羅迪夫〔バス〕
国立音楽大学〔合唱〕
1995年12月23日(土)NHKホール
自らの意思で行った初めてのクラシックコンサート。
「第9聴いてみたい」と母に頼んでチケットを取ってもらった。ずっとモーツァルトが好きで若干の知識ある母は「佐藤しのぶが出るから」という理由でNHK交響楽団に決めた。
しかも何とS席。
この日の記憶は鮮明。
冬の空気を感じながら歩いた公園通り、ホール内の温もりと緊張が混在した雰囲気、ズラッと並んだ大人数のオーケストラ・・・そしていよいよ開演。
が、出てきた指揮者を見て唖然。とんでもないお腹。スヴェトラーノフが何者か知らなかった私は一瞬北の湖親方かと錯覚したほど。「このひと大丈夫だろうか」、不安がよぎる。
しかしそんな私の失礼な想像は早々に吹き飛ばされた。
冒頭の静寂から一転して身体を揺さぶる強い響き。音圧というかエネルギーがビンビン伝わり、曲が進むにつれて身体はカッカする。第3楽章の優しい音楽、そしてフィナーレの...めくるめく静と動のコントラスト。
終わった時、あまりの体験に暫く動けなかった。もちろんその後は手が痛くなるほど拍手した。
少し経ってテレビで別の指揮者が振るNHK交響楽団の演奏を視聴してこのオーケストラがいつも本気出すわけじゃないことを知った。そしてスヴェトラーノフは偉いんだと思った。最初に素晴らしい演奏を聴かせてくれたスヴェトラーノフへの感謝の念はずっと心にある。
https://youtu.be/j-1435Tx2ss?feature=shared
1995/12/22ライヴ収録
スヴェトラーノフ、スウェーデン放送交響楽団/Beethoven:Leonore Overture No.3,Symphony No.3,No.5,No.6