アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

公明党本部の風景と東京都議会議員選挙

信濃町に行くと創価学会の建物は比較的高台にあり、公明党本部は割と低い土地に立っている。

建物自体どっしり、がっしりが多い創価学会に対して公明党本部は白い低層の地味なビル。屋上の看板や太陽光パネルと発電量告知版がなければ背後の明治神宮の森に覆われそう。

そして代表、幹事長には何と個室がない。一応役員室はあるが、写真を見ると応接セットの奥に「代表 山口那津男」「幹事長 井上義久」の机がぴったり横にくっついて並んでいる。とても執務できる部屋ではないし、来客も迎えにくいだろう。恐らく用件があれば公明党の方から創価学会に出向くので来客部屋機能は必要ないのだ。

党本部には入ってすぐ相談室という部屋があり、党の役員が本部を訪れた場合、大概そこで用事を済ませながら訪れた支持者の話を聞くらしい。つまり公明党は他党に比べて幹部クラスが市井の支持者の声を直接聞く頻度が高いし、従って党運営に与える影響も結構大きい。よく日和見と言われる公明党だが、それは別に幹部が移り気なのではなく、物事を決める際のポイントがこうした支持者の声であることに起因している。

今回の都議会議員選挙に至るまでの過程もしかり。公明党にとって支持母体のお膝元で行われる東京都議会議員選挙は全員当選が必須。そして末端の支持者から小池知事を支持する声が聞こえてくれば小池知事に近付くのは当然というわけ。

自民党にとって今回公明党が離反したことは確かに痛かった。ただこれまでの自民党公明党の都議会における投票行動は殆ど同一ので深刻な対立に陥る可能性は低い。
また次期衆議院選挙で公明党が東京都も含めて何人か立てる小選挙区候補者の当選のためには自民党の協力は不可欠。従って公明党都民ファーストの会にこれ以上は近づかないだろう。もちろん連立与党は堅持。
〔参考文献〕御厨貴『権力の館を歩く』(ちくま文庫