アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

スクロヴァチェフスキの音楽人生の頂点が初CD化

2002年4月、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(1923-2017)はNHK交響楽団に客演、ブルックナー:交響曲第4番(4月10日)と第9番(4月4日)を指揮した。ともに当日足を運んだ聴衆、放送で接した人々の語り種となってきたが2018年1月、両曲のライヴ録音がついに発売。

第4番は各パートの練度が高く、ブロック構造の具現化とリズムの描き分けを徹底しながら美麗で色とりどりの音彩が花開く。コーダの導入部ではドラをかすかに叩いている。果たして録音でどう聴こえるか。要注目。

第9番は第1楽章の苛烈な登攀の明晰でブラックホール的奥行きを有する音楽が白眉。聴いて背筋が凍る。続く楽章もダレず、解像度を厳しく追求した結果として拡がる超絶の美に打たれる。両公演ともN響側の提案で対向配置がとられた。

指揮者スクロヴァチェフスキ、日本のブルックナー演奏史上の頂点といえる名演奏。心して味わいたい。

Bruckner:Symphony No.4&No.9