夢と幻想で結ばれたプログラム。くるみ割り人形が子供のメルヘンなら、幻想交響曲は大人のちょっと危険なもの。もっともくるみ割り人形にも探れば妖しい要素はある。
ピアノで接するとチャイコフスキーの一部がフランス近代っぽく聴こえたり、ベルリオーズの各所にベートーヴェンのエコーを感じるかと思えば、ワーグナーやドビュッシーへ繋がるものが浮かぶ。 こうした感じ様は菊地裕介さんの曲芸的にやらず、愚直なほど誠実に諸要素を解きほぐしたアプローチによるところが大きかったと思う。
ベートーヴェン:3大ソナタ≪悲愴≫≪月光≫≪熱情≫ 菊地裕介
チャイコフスキー=プレトニョフ: 演奏会用組曲「くるみ割り人形」/黒岩航紀 Tchaikovsky: Sleeping Beauty Op.66, Nutcracker Op.71, Children's Album Op.39 アンナ・マリコヴァ