ティーンエイジャーの頃から才能が注目を集めたピアニストの中野翔太(クラシック)と松永貴志(ジャズ)に、ブルーオーロラ・サクソフォンカルテットなどで実績を重ねてきたサックスの田中拓也が加わる新しいトリオ。中野-松永、田中-中野は過去に共演しているが田中-松永は初顔合わせとのこと。
《プログラム》
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲〔サックス&ピアノ版〕(田中-中野)
リスト:愛の夢第3番(中野)
中野翔太:Ramdam Shapes Ⅱ(田中-中野)
リチャード・ロジャース:マイ・フェイヴァリット・シングス〔「サウンド・オブ・ミュージック」より〕(松永)
松永貴志:神戸(同)
デューク・エリントン:キャラヴァン(同)
~休憩~
スティーヴィー・ワンダー:Isn't She Lovely(中野-松永-田中)
マイケル・ジャクソン:Human Nature(同)
ジョージ・ガーシュウィン:アイ・ガット・リズム(同)
坂本龍一:戦場のメリークリスマス(中野-松永)
ジョージ・ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー(中野-松永-田中)
”Jazzyな夜”と銘打たれているがことさら「Jazz」を気取らず、3者の持ち味が滑らかに出入りする洗練された音空間が拡がった。この種の試みはしばしばガチャガチャした異種格闘技を見せられ、ステージ上はルンルン、聴いている側はウンザリになりがちだが、彼らはそうした「ダサさ」を軽やかにかわし、クールで都会的な響きに着地させる。
曲目解説が殆どなかったのも「名曲中心なのにグダグダした解説など無粋。それより音楽をすっと聴いて欲しい」という考えに基づくと推測でき、コンサート全体をスタイリッシュにまとめる意思が覗えた。
次回は例えばビゼーの「アルルの女」、ラヴェルの「ボレロ」で3人の共演を聴いてみたいと思った。
※文中順不同・敬称略