アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

2023年4月30日/尾高忠明指揮、読売日本交響楽団、グザヴィエ・ドゥ・メストレ〔ハープ〕

今週のお題「何して遊ぶ?」

読売日本交響楽団 第258回日曜マチネーシリーズ東京芸術劇場

尾高忠明(指揮)

~プログラム~

グリエール(1875-1956):ハープ協奏曲(グザヴィエ・ドゥ・メストレ〈ハープ〉

ソリストアンコール※

ファリャ(1876-1946):歌劇「はかなき人生」からスペイン舞曲第1番

-休憩-

ラフマニノフ(1873-1943):交響曲第2番

アンコールを含めて同世代の作曲家3人が並んだ

メインが指揮者の十八番 前半の協奏曲はソリストの新譜の収録曲目と

内容 集客の両面を確実に押さえる構成 実際ほぼ満席で中身も充実していた

メストレのハープは1音1音の粒立ち 強弱光陰のコントラスト 流れの浮き沈み

いずれも録音より遥かに際立ち しかも余裕のある仕立て

ピアノ ヴァイオリンの名手以上に 「世界基準」が聳え立つさまを体感した

アンコールに至ってはハープの音色がオーケストラに聴こえるほどの強い輝き

やはり国際舞台でバリバリやるにはまずメカニックとパワーだと改めて思う

中編成のバックは芯のある響きで弾力的にソロと渡り合う

金管が3本のホルンだけなのは ホルン協奏曲の佳品をものした作曲家ゆえか

第2楽章にブラームス交響曲第4番の第1楽章

第3楽章でチャイコフスキーピアノ協奏曲第2番の第3楽章に似た楽想が登場

後半のラフマニノフは第1楽章提示部の反復を履行しない形の完全版

読響の各パートの練度が高く 弦は楽想に応じて量感が自在に増減 金管楽器はタフに鳴りつつ 響きのピラミッドを守る

ヘンにテンポで煽ったり 脂ぎった歌い込みをせず 作品の各要素を誠実に響きへ移し

語っていくスタンス オーケストラが指揮者の意図を若干上下方向に拡大解釈した印象で

吹かした時のスケールは壮麗 他方静かなところの妙味も明晰に可視化

指揮者 ソリスト オーケストラの三者がそれぞれきっちり持てる力を発揮

余計な企画ではなく 音楽のみで聴衆を魅了したコンサート