今週のお題「何して遊ぶ?」
読売日本交響楽団 第258回日曜マチネーシリーズ@東京芸術劇場
尾高忠明(指揮)
~プログラム~
グリエール(1875-1956):ハープ協奏曲(グザヴィエ・ドゥ・メストレ〈ハープ〉)
※ソリストアンコール※
ファリャ(1876-1946):歌劇「はかなき人生」からスペイン舞曲第1番
-休憩-
アンコールを含めて同世代の作曲家3人が並んだ
メインが指揮者の十八番 前半の協奏曲はソリストの新譜の収録曲目と
内容 集客の両面を確実に押さえる構成 実際ほぼ満席で中身も充実していた
メストレのハープは1音1音の粒立ち 強弱光陰のコントラスト 流れの浮き沈み
いずれも録音より遥かに際立ち しかも余裕のある仕立て
ピアノ ヴァイオリンの名手以上に 「世界基準」が聳え立つさまを体感した
アンコールに至ってはハープの音色がオーケストラに聴こえるほどの強い輝き
やはり国際舞台でバリバリやるにはまずメカニックとパワーだと改めて思う
中編成のバックは芯のある響きで弾力的にソロと渡り合う
金管が3本のホルンだけなのは ホルン協奏曲の佳品をものした作曲家ゆえか
第3楽章でチャイコフスキー:ピアノ協奏曲第2番の第3楽章に似た楽想が登場
後半のラフマニノフは第1楽章提示部の反復を履行しない形の完全版
読響の各パートの練度が高く 弦は楽想に応じて量感が自在に増減 金管楽器はタフに鳴りつつ 響きのピラミッドを守る
ヘンにテンポで煽ったり 脂ぎった歌い込みをせず 作品の各要素を誠実に響きへ移し
語っていくスタンス オーケストラが指揮者の意図を若干上下方向に拡大解釈した印象で
吹かした時のスケールは壮麗 他方静かなところの妙味も明晰に可視化
指揮者 ソリスト オーケストラの三者がそれぞれきっちり持てる力を発揮
余計な企画ではなく 音楽のみで聴衆を魅了したコンサート