オーケストラの成り立ちについてはこちらを御参照あれ。
橋本國彦の交響曲第1番の第1楽章はヴァイオリニスト出身ゆえか、弦のリードで楽想を導く。エルガーの「南国にて」に似たちょっと厳かな地中海風の主題を軸に緻密な展開。途中唐突に機会を意識した体の祝典調の楽想が挟まるのが惜しい。後半の疑似ブルックナー的登攀がなかなか見事なだけに。第2楽章は東洋的ボレロ。第3楽章は越天楽をもとにした伊沢修二(1851-1917)の唱歌「紀元節」(1888)の主題が用いられる。前半チャイコフスキーの組曲第3番のフィナーレを思わせる変奏、後半がフーガ。
紀元節の歌 2月11日/ 祝日大祭日唱歌八曲 - YouTube
若い指揮者とオーケストラはおそらく初めて向き合う先人の遺産をきちんと凹凸をつけて真摯に奏でた。後半は橋本作品から20年ほど前に生まれたラヴェルとストラヴィンスキーの作品を配し、橋本國彦がどんな音楽から影響を受けたか想像できるプログラム。
価値あるコンサートだった。