アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

My Favorite Things:メニューイン&グラッペリ【巨匠同士の小粋なお喋り】

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いわゆるクロスオーバーのはしり。グラッペリがメニューインに書いた曲が意外と普通でガクッとくる以外は心和む時間。#メニューイン #グラッペリ #夢の共演 #クロスオーバー #クラシック音楽 #ジャズ #ヴァイオリン #emi
グラッペリのキュッと響く音色、メニューインのリラックスしたおおらかな音楽運びが自在に融け合う。ネルソン・リドルなどアレンジャーも豪華でエレピを入れたり面白い。ジャンルまたぎの大物同士の共演が増える呼び水になった名録音。
このアルバムに感銘を受けた古澤巌氏は晩年のグラッペリと共演。更に葉加瀬太郎氏とオマージュ的デュオアルバムを作った。
Yehudi Menuhin&Stephane Grappelli - Friends in Music: Gershwin, J.Kern, C.Porter, etc
Menuhin And Grappelli Play...
葉加瀬太郎、古澤巌/Time has come

My Favorite Things:園田高弘のフランス音楽【流麗、耽美、お洒落】

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ひとは見かけによらぬもの。フランクの曇りのないタッチにたちこめるロマンの香りの濃さ。ドビュッシー、ラヴェルはディテールを明瞭に捌きつつ、うっとりするほど流麗な仕上げ。サン・サーンス、プーランクの洒落っ気への対応力も鮮やか。1960年代、ベルリンでの放送収録。#クラシック音楽 #フランス音楽 #ドビュッシー #ラヴェル #フランク #サンサーンス #フォーレ #プーランク #6つの練習曲 #第2巻 #ベルリン放送 #放送音源 #放送収録 #園田高弘 #見かけによらず #聴きやすい音質 #1960年代
ドビュッシーの練習曲は前回紹介した南西ドイツ放送協会収録のアルバムと合わせて12曲揃う。
choku-tn.hatenablog.comこれらの独奏曲は恐らくNHKラジオ「名曲スケッチ」のような番組用の収録だろう。園田高弘が安定感のあるピアニストとして一定の信頼を受けていた事実をうかがわせる。
www.hmv.co.jp

中曾根康弘vs石原愼太郎【風見鶏と太陽族の原体験】

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中曾根康弘氏は対談好きでもあった。相手はキッシンジャーから長嶋茂雄(かつて中曾根氏は長嶋氏所有の家を借りていた)まで幅広い。特に面白く、ボリュームのあったのが石原愼太郎氏との対談。『永遠なれ日本』(2001年)では冒頭、お互いの少年、青年時代のいわば原体験が語られる。多少の誇張や美化はあるだろうがこうしたものをしっかり身体に持った政治家はもはや希少。MXテレビの番組はもう少しざっくばらんで生臭い。#読書 #対談 #php文庫 #mxテレビ #中曾根康弘 #中曽根康弘 #石原慎太郎 #石原愼太郎 #東京の窓から #dvd #蛭田有一

壮年期から政界内外の著名人との対談を数多く行った中曾根氏。首相退任後、自己アピールのために活発化。議員を退いて以降は相手が一層多彩になり何と不倶戴天の敵、共産党の不破議長とまで対談した。安倍晋三氏と志位和夫氏が対談することは互いの政界引退後も絶対あり得ない。昭和の政治家の器というか、ある意味テーブル上で喧嘩しつつ、どこかで繋がっていた一面(国対政治と揶揄された部分も内包)を覗わせる。

中曾根康弘・元首相100歳【「反権威」で小澤征爾氏との縁も】

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物心ついて名前を知った最初の政治家の一人がいまだ存命というのは不思議な気持ち。堂々たる体躯。陣笠議員時代から大げさに天下国家を語り、外遊に精を出し、国際性のある国士のイメイジ構築に腐心した。

絶えず誇大な言葉で発信につとめ、中身(行動)は少しずつ後から入れていくのが中曾根流。

「戦後政治の総決算」は典型例。逆風の中の解散総選挙を乗り切る意図のアフォリズムだったがいつしか改革邁進の旗印にすり替わる。そして3公社民営化を成し遂げた。

www.sankei.com

『政治と人生』に壮年期の思い出として挙げられた小澤征爾氏とのエピソードが興味深い。

小沢征爾氏を応援 

昭和37年(1962年)12月11日の新聞に、「N響、小沢氏指揮の演奏会を中止」という記事が出た。NHK交響楽団の一部の演奏家が、新進気鋭の小沢征爾君の指揮ぶりや人間性を不満として、演奏会をボイコットした事件である。

小沢氏とは因縁がある。30年(1955年)から私の郷里の高崎でつくられ、地方交響楽団のはしりとなった群馬フィルハーモニー交響楽団の指揮を、彼がとってくれたのである。混雑している汽車に乗って、たびたび高崎まで来てくれた。群響は全県下の小、中学校を巡回し、戦後の殺伐とした社会にあって、子どもたちに本物のバイオリンやクラリネットやチェロの音を聞かせてくれたのである。

加えて小沢君の父上の開作氏は、旧満州国の建国の頃、その草創の業に参加した民間有志である。途中で関東軍と喧嘩して、日本に帰ってきた。私は当時、お目にかかって満州国の実情を聞いていた。

私はこの演奏会ボイコット事件を、特権を保持しているNHKの楽団員の衆を頼んでの傲慢と思った。才能ある逸材の前途を挫折させてはいけないということで、「助ける会」を赤坂の料理屋、「金龍」で旗揚げした。集まったのは演出家の浅利慶太、音楽評論家の安倍寧、映画監督の勅使河原宏らの諸君である。「いやしくも徒党を組んで演奏を拒否するなどという態度は、芸術家のとるべきものではない」との非難が圧倒的で、「NHKの一部の思い上がりであり、これを糺すべきだ」との点で一致した。

どうしたら小沢征爾という芸術家が受けた打撃をそそぐことができるか、で議論は沸騰した。「新聞や週刊誌の評論で取り上げよう」との声もあったが、三浦甲子二君が「芸術には芸術を持って対抗せよ」と主張し、結局、「それなら日本フィルハーモニーのタクトを小沢君に振らせ、素敵な演奏で会場を満員にし、一矢を報いよう」ということになった。

世間の反響は、この事件を知っているだけにすさまじいものがあった。翌年1月、上野の東京文化会館における小沢君のチャイコフスキーの5番とベルリオーズの指揮は、実にダイナミックだった。彼の指揮棒がとまると、聴衆は立ち上がり、狂気のようになって拍手をした。小沢君も顔がクシャクシャになったが、それは決して汗のせいばかりではなかった。(pp.255-257)

※各種表記は原文のまま。原田三朗『オーケストラの人びと』(ちくまプリマーブックス)には、日本フィルとの演奏会のホールは日比谷公会堂、曲目はシューベルトの「未完成」とチャイコフスキーの5番と記されている。

小澤征爾/ベルリオーズ:幻想交響曲(1966年録音)

小澤征爾/チャイコフスキー:交響曲第5番(1968年)

錚々たる人物が思わず押し上げたくなる魅力が小澤氏にはあるのだろう。

また政治的狡猾さの陰で中曾根氏の政界外の若い人材に対する視線は基本的に温かった。

後年の『自省録』(2004年)の「あとがき」には名を知られる前の磯田道史氏(当時茨城大学准教授)への謝意が付されている。ジャンル問わず、才を見抜く慧眼は健在だった。

My Favorite Things【ズッカーマン〔vn.〕、クーベリック指揮、バイエルン放送響のチャイコフスキー】

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ズッカーマンのヴァイオリン、エネルギーの強さ、音の張りと艶、慣習的な改変を排した解像度の高いディテール処理。ライヴでこの水準は驚異。クーベリックの録音については「好演率は高い反面、何かひと押し足りない」と思うことが多いが、本アルバムの指揮は堂々たるもの。鳴り物打ち物の入れ方のバランス感覚に優れ、奥行きや翳を出しつつ、輝かしい音楽が繰り広げられる。オーケストラのポテンシャルに脱帽。#クラシック音楽 #ライヴ録音 #バイエルン放送交響楽団 #クーベリック #ズッカーマン #ズーカーマン #チャイコフスキー #ヴァイオリン協奏曲 #交響曲第4番 #音質良好

若い頃ここまでいっちゃうと歳取って指揮に逃げる気持ちは分からなくもない。ときにズッカーマンの同時期のCBS録音でいくつか入手困難ものがあるのは残念。ドラティとのチャイコフスキー、マッケラスとのショーソン「詩曲」。

ズーカーマン(vn.)、クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団/チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、交響曲第4番

ズーカーマン(vn.) ウラディーミル・アシュケナージ(指揮)、ベルリン・ドイツ交響楽団/モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番

9/22【阪田知樹ピアノ・リサイタル@麻生市民館】

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地元のタウンニュースに阪田知樹のリサイタルの広告❗#阪田知樹 #リサイタル #新百合ヶ丘 #2018年 #5月25日 #9月22日 #麻生市民館 #クラシック音楽 #コンサート #タウンニュース #タウンニュース掲載
シューマンの交響的練習曲をメインにクライスラーラフマニノフ編):愛の悲しみと愛の喜び、リスト(ブゾーニ編):メフィスト・ワルツなど超咢級の曲目が並ぶ。ピアノ好きは絶対聴き逃せない。
choku-tn.hatenablog.comchoku-tn.hatenablog.comchoku-tn.hatenablog.comyoutu.be阪田知樹(ピアノ)/リスト:スペイン狂詩曲ほか
阪田知樹(ピアノ)ほか/四月は君の嘘 僕と君との音楽帳
『ドキュメンタリー:名人芸~第14 回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール』

My Favorite Things:中曾根康弘『天地有情』

https://www.instagram.com/p/BjKbTfDBUbG/
「自己主張と自己弁護の香りがかなり強烈」(中曾根氏本人による後記より)ながら伊藤隆、佐藤誠三郎の両先生の存在が利き、保守から見た戦後政治が人間の動きの見える形で起伏豊かに語られる。首相時代の日記の参照を許されたのも大きい。末尾の21世紀の日本への懸念は現実となりつつある。1996年刊行。#読書 #日本政治外交史 #戦後政治 #政治史 #日本政治 #内閣総理大臣 #中曽根康弘 #中曾根康弘 #伊藤隆 #佐藤誠三郎 #文藝春秋 #インタビュー #オーラルヒストリー
インタビュー当時77歳。自己主張、自己弁護だろうがこれだけの言語力で回想できるのは知性、馬力の両方に恵まれているからで敬服する。なお中曾根、伊藤の両氏は2018年5月の段階で健在だが佐藤誠三郎先生は数年と経たずに早世した。

自省録―歴史法廷の被告として― (新潮文庫)

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中曽根康弘が語る戦後日本外交

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わたしがリーダーシップについて語るなら

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天地有情―五十年の戦後政治を語る

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