アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

阿川弘之『雲の墓標』【時代設定に胡座をかかず普遍性で読ませる筆力】

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極限状況に寄りかからず、普遍性のある人間心理の美醜、葛藤、組織の歪みを簡潔な骨格で透かし彫りした。それゆえ感銘は深い。無粋な背景説明がなく日記、手紙という当事者目線がメインなのも成功。文庫版の解説は安岡章太郎。昔読んだ本より字が随分大きくなった。#読書 #阿川弘之 #新潮文庫 #小説 #雲の墓標 #安岡章太郎 #英訳 #英訳版
余分なものを省いた品のある佇まいの文章は阿川弘之の最大の魅力。ひとの心や動きを淡々と追った言葉から滲む凛とした情感が読み手の胸を突く。

雲の墓標 (新潮文庫)

雲の墓標 (新潮文庫)

山本五十六 (上巻) (新潮文庫)

山本五十六 (上巻) (新潮文庫)

山本五十六 (下) (新潮文庫 (あ-3-4))

山本五十六 (下) (新潮文庫 (あ-3-4))

【鍵盤に舞う麗人】安達朋博ピアノリサイタル@9/25杉並公会堂

あの野村克也氏の故郷、京都府丹後半島で育ち、高校卒業後にクロアチアへ留学。その後「逆輸入系」として日本デビュー、以来演奏やクロアチア音楽の紹介を活発に展開しているピアニスト安達朋博。華やかな舞台姿とガッツあふれる演奏でコアなファンが多い。 彼は息の長いピアニスト人生を見据えて年に1度、あらゆる能力がテストされるプログラムのリサイタルを行ってきた。今年も9月25日に杉並公会堂で開かれる。

ライフワークにしているクロアチアの女流作曲家ペヤチェヴィッチのピアノソナタで始まりモンポウショパンシューマンの名曲が並ぶ。瞬発力、叙情性、強靭さ…あらゆるものが求められる曲目をどう弾き抜くか、ドキドキの一夜となるはず。

※奏者の意向によりショパン幻想ポロネーズ舟歌シューマンのフモレスケはブラームスピアノソナタ第2番にそれぞれ変更された。当日のアンコール曲はベートーヴェンの「エリーゼのために」。(9/26追記)

※9/20終了※【PR】音楽イヴェント集団FREEWINGのクラウドファンディング

10年以上、公演毎に多様なアーティストを招く形のグループでライヴを催してきた音楽イヴェント集団FREEWINGが台湾の音楽フェスに招かれ、いま遠征資金をクラウドファンディングで募っている。

camp-fire.jp

台湾では演歌・歌謡曲からV系に至るまで日本の音楽エンタテインメントに対する関心は高い。かの地へ行くと現地の方から1度は「先日…さんが公演しました」「いま日本で流行っているのは…ですか?」といった話をされる。今回FREEWINGが向こうのフェスで公演できれば日本の草の根の音楽文化の一端を台湾のひとたちに見てもらえる。なかなかない機会なので実現させたいもの。何だか面白そうと感じた方は是非ページを御覧頂きたい。

これからのホークスの顔【2試合連続殊勲打!上林誠知外野手】

https://www.instagram.com/p/BnRBSxOnInI/
1日、2日と2試合連続殊勲打。このまま最後まで全開だ。うえばやっしー!#月刊ホークス #上林誠知 #雑誌 #2018年9月号 #福岡ソフトバンクホークス #51 #もう1頂
今シーズンは下半身(太腿)が大きくなり、持ち前のバットコントロールに逞しさが加わってきた。若鷹軍団の1番手として斬り込んで欲しい。クールにしてひとを惹き付けるキャラクターも魅力。

ホルスト・シュタイン没後10年&生誕90年【生気あふれるロマン性】

https://www.instagram.com/p/BnOdwvyn5K0/
ホルスト・シュタインはNHK交響楽団を振りすぎてありがたみがなくなったひと。このバンベルク交響楽団とのシュトラウス、ワーグナーを聴くと沸き上がるエネルギー、瑞々しいロマンの息吹、弾力性を伴った進行に惚れ惚れする。#ホルストシュタイン #バンベルク交響楽団 #リヒャルトシュトラウス #ツァラトゥストラはかく語りき #祝典前奏曲 #ワーグナー #ヴァーグナー #タンホイザー #序曲とヴェヌスベルクの音楽 #bmgクラシックス #アリオラジャパン #クラシック音楽 #CD
バンベルク交響楽団が持つ、骨格はごつめ、各パートの動きは柔らかいサウンドはシュタインの音楽性にぴったりだった。コンサートマスターのフォルヒェルトを筆頭に管楽器も含めて奏者のテクニックは高水準。録音当時ホルンに水野氏がいたはず。
ホルスト・シュタイン(指揮)バンベルク交響楽団/R.シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき
ホルスト・シュタイン(指揮)バンベルク交響楽団/ブラームス:交響曲第1番&第2番
ホルスト・シュタイン(指揮)バンベルク交響楽団/ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」、ワーグナー:ジークフリート牧歌

バーンスタイン生誕100年記念ソニー名盤1000より【伸びやかで朗々と響くワーグナー】

https://www.instagram.com/p/BnLZoCNBGoy/

2018年8月発売のソニーのバーンスタイン生誕100年シリーズ。1,080円ながら落ち着いた装丁でレコーディングデータもきちんと記載されている。この20年くらいでNYP時代の録音の再評価が進んだ印象。#レナードバーンスタイン #バーンスタイン #クラシック音楽 #CD #ワーグナー #序曲 #前奏曲 #ローエングリン #ワルキューレ #ヴァルキューレ #ソニークラシカル #ソニー #ニューヨークフィルハーモニック

バーンスタインが遺した録音物の中でワーグナーはフィリップスの「トリスタンとイゾルデ」を例外としてあまり注目されない。序曲・前奏曲などいわゆる管弦楽曲集はNYP時代の数曲のみ。NYPとは「神々の黄昏」第3幕を演奏会形式で取り上げた(ライヴ録音あり)し、作曲家兼指揮者という観点からもワーグナーに対する関心は深かったと思うが・・・。DGGに録音がないのは他の指揮者陣との兼ね合いに加えてイスラエルフィルへの配慮だった可能性もある。

しなやかなピカピカ輝くサウンドで描かれたワーグナー。鳴り物打ち物を積極的に打ち込みつつ、静かな楽想のざわめきの妙も光るあたりにエネルギッシュさと思索性がないまぜになったバーンスタインNYPのコンビの面白さが詰まっている。

バーンスタイン指揮、NYP/<ワルキューレの騎行~ワーグナー:管弦楽曲集<期間生産限定盤>

バーンスタイン指揮、NYP/ブリュンヒルデの自己犠牲~ワーグナー名演集<期間生産限定盤>

バーンスタイン指揮、バイエルン放送響/ワーグナー: 楽劇「トリスタンとイゾルデ」(全曲)<タワーレコード限定>

【Blu-ray Disc】 バーンスタイン指揮/ワーグナー: 楽劇「トリスタンとイゾルデ」

8/28黒田玲兎@真昼の月夜の太陽「星河の雫」【偉才の挑戦と音楽の深み】

作曲、ピアノ、ヴォーカル、アレンジ、演技の全てに卓越した多面体アーティスト、黒田玲兎のライヴに赴いた。

セットリストは・・・

彼の存在、パフォーマンスの魅力について下記の記事で取り上げた。choku-tn.hatenablog.com

今回はここ最近成果を上げている影山瑛一(ドラムス)とのデュオ編成にサウンドトラックを加えるスタイル。更に新しい試みとして「言葉の振る丘」と②でダンサーの五十嵐愛も登場する構成。短い時間、狭い舞台でここまで盛ると正直煩わしくなったり、意欲のみが空回りする可能性を懸念したが杞憂だった。ピアノ(+ヴォーカル)、舞踏、ドラムスの光と翳の交感は美しく、視覚上のバランスも適正。音楽の敷き詰める絨緞がしっかりしているので複数の要素の主張が高め合い、ひとつのピラミッドを築く。

また①と③は3月のライヴより一層練れて充実の出来栄え。楽想の変化に伴うピアノが奏でるリズムの刻み方のギアチェンジが巧み。①はポップ調の出だしは小粋に丸く、もう一つのロマン系のパートは少し重さを加えて。③は左手が奥行きのあるタッチで音形を彫り、右手が闊達な動きで縁取る。そのなかヴォーカルの声は伸び、明るい質感のなかに潜るやるせなさが痛かった。

インストの④では黒田玲兎の音楽を陰陽に色付けし、空間まで染め抜くテクニックが存分に発揮された。ここはドラムスの影山の対応力にも拍手。

そして⑤はきっぱりした展開の佳品。拡げに拡げた時間をうまく着地させた。

挑戦して盛り込んだものがいい形で舞台に投影され、核となる音楽の深化も果たす。素晴らしい一夜。

※文中敬称略