指揮者・水野蒼生が代表を務めるオーケストラO.E.Tのメンバーなどによる室内楽公演「Salon」については以下の記事で紹介した。
今回はプログラムに焦点を当てて綴ってみる。
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲(三好駿編曲ピアノ五重奏版)
ピアノ独奏もしくは2台ピアノ・連弾によるワーグナーは実演、録音ともに聴く機会が結構あるがピアノ五重奏(ピアノ+弦楽四重奏)は珍しい。「東京ピアノ爆団」の看板ピアニスト三好駿の編曲に注目。
ゾルターン・コチシュによるピアノ独奏版
エッカードシュタイン(P)/ワーグナー・オペラ、トランスクリプションとパラフレーズ集
ドビュッシー:弦楽四重奏曲より第1楽章
この曲は有名なのであえて御託を並べない。
演奏はブタペスト弦楽四重奏団。2018年が没後100年のドビュッシー、本音源は作曲者の没後40年経った1958年の録音。
コルンゴルト:ピアノ五重奏曲作品15
水野の好むこの作曲家の室内楽では左手ピアノと弦楽三重奏(ヴァイオリン2・チェロ1)のために書かれた組曲が有名だが今回は代表作である歌劇「死の都」の後に作られたピアノ五重奏曲。
晩年のコルンゴルトによるピアノ演奏。ウィーン生まれの彼は神童で「20世紀のモーツァルト」と激賞されたがナチスのオーストリア併合を受けてアメリカに逃れ、映画音楽の世界で活躍。戦後故国に戻ったが既に彼の名前は人々の記憶から消えていた。ハリウッドの映画音楽の水準を引き上げた功績は大きい。1970年代以降再評価が進み、ハイフェッツが委嘱したヴァイオリン協奏曲はいま若手ヴァイオリニストの定番レパートリー。
アレクサンドル・モギレフスキー(ピアノ)/コルンゴルト:ピアノ五重奏曲 ホ長調 作品15
ときに本公演は「革命前夜」と銘打たれている。20世紀初頭に生まれ、いわば音楽の革命の前触れとなった作品を中心に取り上げているからだが、きっとO.E.Tの活動の「革命前夜」でもあるはず。次の展開が待ち遠しい。
【訂正版】【拡散希望】
— O.E.T (@o_e_tokyo) 2018年1月6日
O.E.T 室内楽プロジェクト「Salon」始まります。
2018年2月25日19時開演
サローネ・フォンタナ(成城学園前)
¥3000 ※70席限定!!
オケだけでなく、室内楽の響きを間近で感じるサロンコンサートです。#クラシックをハックする pic.twitter.com/Pb8tsD2hc1