1945年(昭和20年)3月10日、東京大空襲。
当時國學院大学で勉強していた祖父は夜が明けてから友人たちの安否を確かめるべく、都内を巡った。そこで見たものは「とても口にできない」ものだった。断片的に明かしてくれたのは空き地に並べられた焼け焦げの遺体を確認するひとの姿。服から何から焼かれている遺体にせめてもの情けとして、股間に布や石を置いているひとがいたこと。
祖父はよく言う。「戦争で苦労した人間として思うのは無責任なことを言ったり、やったりしてくれるな、ということ」。
1995年3月10日、東京文化会館「東京大空襲被災50周年 第5回東京都平和の日コンサート」
若杉弘指揮、東京都交響楽団、ジェラルド・ジャーヴィス〔コンサートマスター〕
ハイドン:交響曲第44番「悲しみ」
モーツァルト:レクイエム
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井上寿一/昭和の戦争 日記で読む戦前日本 (講談社現代新書)