アフターアワーズ

山椒系ちょくの切り抜き帖

「コロナ後」への提言【「予測不能」に備えるシステム作りを】

①日本は平素から国家的危機に際して公と私の関係をどうするか議論してこなかった。大きな災害や化学兵器によるテロの経験があるのに。政治家、知識人、メディアが一歩前に出て、リードして国民的議論を起こし、賛否はともかくそういうことを考えるクセを国民につけなければいけなかった。マイナンバーひとつとってもそう。とりわけ皮相な政権批判ばかり繰り返し、今なお同じ事をしている知識人の罪は重い。
②新型コロナウィルスの感染拡大は大災害や細菌テロに近い問題でどちらかといえば治安、安全保障マター。この機に乗じて良からぬことをするひとはいるし、何か企む国や地域もあるだろう。保健所なんて食中毒やインフルエンザの定期的な流行に対応する組織で扱える事態ではない。大勢のひとが動く事態に通じている警察、消防、自衛隊が全面に出てやること。
国家緊急事態基本法を作り、例えば緊急事態宣言がでたら官房長官のもとに国家緊急事態局を設けてひと、カネ、権限、情報を集約して命令する。逆に地方自治体への権限委譲が必要ならそこで決める。NSC同様、各省庁には求められたら情報の提供を義務づける。
当事者能力のない組織に役割を担わせるのは百害あって一利なし。
③休業要請などに従わないひとへの罰則の是非が浮上している。それが導入されると当然裁判にかけられるので、妥当性が争われ、もし無罪となれば下手すると内閣が倒れるくらいのダメイジになる。一方今般の「休業要請」の妥当性は誰からの検証も受けない。また従ったひとと従わないひとの間で不毛な軋轢を生む。往々にして少数派は批判されればされるほど頑なになり、結束する。
事前の国会承認と事後の厳正な検証(ます国会で行い、もし重大な人権侵害や恣意的運用が判明したら提訴を視野にいれた第三者の検証に移行)を条件に一定の強制力のある措置を講じた方が遥かに合理的。今回の緊急事態宣言に際しては「国会報告」が付帯決議に記されたが安倍首相はその延長を国会はおろか、専門家会議すらすっ飛ばして与党に伝えた。どんな検討がなされたのか何の説明もない。中途半端な制度は社会の歪みに繋がる。
強制力のある措置とセットなのは「補償」ではなく記録に残る事前承認と事後検証。
④その「補償」は言うはやすく実現は困難。他国のように職域(職能)別組合が整っていれば(逆に言うと組合に入らないと商売や活動は原則不可)、組合がメンバーの要求を取りまとめて「我々の業界はいくら必要です」と政府もしくは地方自治体に申請し、まとめて受け取り、配分するのでスムーズ。
しかし日本の場合、そういった組織やシステムがない。個々がバラバラに申請するのでは、チェックに時間が掛かり、逆に一律ならばらまきになる。
ほぼ自由だが脆弱な社会が良いか、少し制約を受けるがいざという時に横の繋がりのある社会が良いか、これも平素から考え、枠組みを作る話。
⑤とにかく平素の思索や議論、実行なしに有事の対応はできない。ジャック・アタリの言うように「予測不能」で逃げずにできることをやっておくこと。いま東南海地震がきたらどうするのか。