アフターアワーズ

山椒系ちょくの切り抜き帖

ヘルベルト・フォン・カラヤンの命日に寄せて【1989年7月16日】

2019年には没後30年を迎える「帝王」。

1981年来日公演前インタビュー

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TBSとテレビマンユニオンの企画によりパリのホテルで小澤征爾を迎えて行われた。早朝だったらしいがカラヤンはパリっと決めている。例え話が巧い。オペラへの愛情が覗える。カラヤンが日本でオペラを指揮しなかったのは痛恨事。これで日本におけるカラヤンの受容はだいぶ歪んだ。

1981年来日公演ライヴ映像

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いわゆる「カラヤン組」とディスカッションしながら実相寺昭雄監督が演出した。「カラヤン映像」のスタイルに依りながら左手の撮り方、いきなり団員の顔をアップにするなど独自路線も発揮。オーケストラが男の芸術だった時代の遺産。

1984年大阪公演(放送用素材)

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2008年にDVD化された映像だが別撮りのシンバルのインサートなど興ざめな細工が目立ち、見辛かった。こちらは無編集で音楽を堪能できる反面、たった3年でカラヤン老いたことがはっきり分かる。レスピーギに先立つシュトラウスのドン・ファンでは直前まで勉強していたチャイコフスキー交響曲第5番の出だしを振ってしまう失態を犯した。

1988年ジルヴェスターコンサート(放送用素材)

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DVDにないカラヤンの終演の挨拶が聞ける。フィルハーモニーでの最後の雄姿だった。

〔参考文献〕

リチャード・オズボーン『ヘルベルト・フォン・カラヤン』上・下(白水社

眞鍋圭子『素顔のカラヤン』(幻冬舎新書

素顔のカラヤン―二十年後の再会 (幻冬舎新書)

素顔のカラヤン―二十年後の再会 (幻冬舎新書)

 

園田高弘『ピアニスト その人生』【生涯現役の厳しい道】

https://www.instagram.com/p/BlQZ5N8h3tf/
演奏家としての矜持、カラヤンやチェリビダッケとの共演、欧州での苦労。日本語で読めるピアニストの自伝の最高峰。日本人の演奏家による著作物の頂点。基になった日本経済新聞「私の履歴書」のためのインタビューをまとめた池田卓夫氏の手腕の賜物。余白の若き日に著した欧州滞在記の抜粋も面白い。#園田高弘 #春秋社 #超愛読書 #池田卓夫 #読書 #私の履歴書 #日本経済新聞 #ピアニスト #自伝 #レオシロタ #カラヤン #チェリビダッケ

ピアノは歌詞のない歌、無言歌のようなものだ。背景にあるものを蓄積して、それが血となり肉となって、初めて指先から音楽になってくる。楽譜を見て音符をただの音の響きとして還元するだけの動作ではまったく虚しい。そう思えたのは、ヨーロッパへ行き、さまざまな挫折を繰り返して涙を流した経験を経たからだ。(中略)
僕は、同世代のピアニストと比べて、幸せな後半生を送っているかもしれない。しかし逆に言えばそれは、ずっと現役で仕事を続けてきたからだと思う。確かにステージで恥はかきたくない。しかし、新しい曲にも挑戦したいという気持ちも変わらず持ち続けている。教職について給料をもらい、左うちわで暮らすより、僕は生涯一ピアニストを貫きたい。芸術家は最後まで現役であるべきで、それが嫌ならやめたらいいと思う。(中略)
楽家はいい演奏をすることが使命だ。チェリビダッケの言葉を引用するなら、「我々のやっていることは、大海に指をさして穴を開けているようなものかもしれない。手を引けば水は元通りになってしまって虚しい。でも、それをすることが音楽家としての使命なのだから」。
人生は哀しみと愛、失敗と挫折の繰り返しである。一見、淡々と見える精神構造にも、多層的な傷跡が残っている。

楽家、芸術家の神髄が集約された言葉。日本の男性ピアニストはある年齢以上になると仕事が激減する。従って生活のため教授業やレッスンに精を出すことになる。するとコンサートピアニストとしての研鑽がままならず、もはや内輪の集まり位でしか演奏できなくなる。園田高弘(1928-2004)が生涯現役を貫けたのは仕事があったから。それが偉大だし、最晩年まで洞察力とパッションが渾然一体となった至芸を聴かせた。最後のコンサートで弾いたのはラフマニノフピアノ協奏曲第2番。生涯現役を体現し切った76年の人生だった。

ピアニストその人生

ピアニストその人生

7/14水野蒼生(Aoi Mizuno)と姿月あさと(元宝塚トップスター)のトークイヴェント@日比谷

https://www.instagram.com/p/BlNluMihbLW/

2003年リリース。まったり系のクラシックとジャズを組み合わせたコンピレーションアルバム。素敵な試みと思うがこの種のCDを買う層は「どちらかでいいからもっと曲数聴きたい」のか、あまり受けなかった模様。いい並びで選んでいる音源も上々。#2003年 #ユニバーサルミュージック #クラシック音楽 #ジャズ #コンピレーションアルバム #オスカーピーターソン #3大テノール #cd #たぶん売れなかった #癒し系 #まったり系 #小澤征爾 #ユニバーサルクラシックアンドジャズ #verve

こちらのイヴェントに足を運んだ。やはりコンピはジャンル別2枚組が王道か。

www.hmv.co.jp

水野蒼生については以下の記事を。

choku-tn.hatenablog.com

お互い心得た話しぶりで段取り良く進んで結構楽しかった。姿月あさとは宝塚時代と随分印象が変わり稲田朋美みたいな(失礼!)雰囲気。風邪ひいてるのかファンだと仰っていたカラヤンばりのしわがれ声。
〔アルバムから2人の挙げた曲〕
水野蒼生(Aoi Mizuno)
ドビュッシー:月の光(チョ・ソンジン)
チャイコフスキー:弦楽セレナード(小澤征爾指揮、サイトウキネン)
ジョビン:イパネマの娘(ゲッツ&ジルベルト)
ハンコック:カンタロープ・アイランド(ハンコック)

姿月あさと
ホルスト:組曲「惑星」より木星カラヤン指揮、WPh)
デズモンド:テイク・ファイヴ(デイヴ・ブルーベック)
※敬称略

GREATEST CLASSICS

カラヤン指揮、N響の「悲愴」【装い新たに】

https://www.instagram.com/p/BlLNFRGB4VB/
1999年と2008年にDGGから日本限定で発売された音源。今回、キングインターナショナルはライヴ録音のテープを編集せずに用いた。なかなか生々しく十分鑑賞可能な音質。速球勝負を基調に時折緩い球も交え、はつらつとオーケストラを牽引。第1楽章中間部の粘る歌には後年のBPhとの録音では聴けない肉声感がある。オーケストラは楽しい音を出しまくるが最後まで割合集中している。弦楽セクションは結構いい音色。#カラヤン #帝王 #若き日 #クラシック音楽 #ライヴ録音 #日比谷公会堂 #1954年 #cd #キングインターナショナル #チャイコフスキー #悲愴 #交響曲第6番 #張り切る #NHK交響楽団 #N響 #さすがの内容
1954年4月21日、日比谷公会堂でのライヴ録音。まだ「気さくなお兄さん」(園田高弘)だった後の「帝王」が極東のオーケストラを前に「一丁やったるか」という感じで微笑ましい。終演後の拍手は今でもよく出くわす、最初拍手が起きかけて静まり、(恐らく指揮者がバトンを下ろして)再びわーっと沸くスタイル。
カラヤン指揮、N響/チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
カラヤン指揮、BPh/チャイコフスキー:交響曲 第4番・第5番・第6番≪悲愴≫(DVD)

メータ指揮、LAPOの「ロマンティック」(Decca)【早く来すぎた全盛期】

https://www.instagram.com/p/BlIqZBfB-Cw/
ブルックナー(LAPO)が1970年、ワーグナー(WPh)は1966年のセッション録音。パリッと鳴る麗々しい響き。溢れるガッツと品の良さがうまく併存。メータの全盛期はここからの10年ほどだった。#クラシック音楽 #ブルックナー #ロマンティック #交響曲第4番 #1960年代 #1970年代 #デッカ #アナログ録音 #cd #全盛期 #若々しい #早熟 #ロサンゼルスフィル #ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 #ワーグナー #マイスタージンガー #第1幕前奏曲 #エロクァンス #ユニバーサルオーストラリア
どこを取っても美麗なシャキッと光るサウンド。1976年にニューヨークフィルへ行って数年後、40代半ばから安定指向となり、ぼってりした輪郭の中途半端な演奏が増えた。折悪しくCDの登場でソニーなどから大量の録音が出回り、メータの評価に悪い影響を及ぼした。指揮者としては早く全盛期がきたところがメータの悲劇。
メータ指揮、LAPO/ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」