アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

クラシック音楽の鍵を開ける!【指揮者・水野蒼生とO.E.T】

ザルツブルク留学中の指揮者、水野蒼生は選び抜いた仲間たちとO.E.T(オーケストラ・アンサンブル東京)を設立し、7月20日に結成披露公演に臨む。そのための資金調達をクラウドファンディングで試みていることから注目が高まり、7月始まって早々日経スタイルに取り上げられた。

style.nikkei.com

記事では水野のここまでの歩みや公演に臨む決意が明快に描かれている。

クラシック音楽を人類に最も長期間愛されてきたヒットミュージックと位置付ける水野は、現代を生きる若いひとにこそ、クラシック音楽を聴いて欲しいと考える。そしてたくさんのオーケストラやホールがありながら、クラシックが「パッと手に取って聴く音楽」になっていない東京(日本)の現状に危機感を抱き、例えば「東京ピアノ爆団」というライヴハウスでピアニストが弾き倒し、水野自身は「クラシカルDJ」として場を盛り上げるプロジェクトを実行して既に2回大成功を収めた。

水野の姿勢の特徴は決して色物やクロスオーバーじみたものを届けようとは考えていないこと。あくまでクラシック音楽のコアな魅力を手の届くところに展開することが彼の行動を貫く要素。

今回、水野がオーケストラの結成公演で選んだ作曲家はベートーヴェン。250年にわたり人類に刺激を与え続けるベートーヴェンの音楽に若い力で取り組み、その扉の鍵を開け、作品の魅力を聴衆に届ける決意だ。

そしてコンサート実現に必要な資金を調達するため、クラウドファンディングに乗り出した。クラシック音楽のコンサート分野であまり試みられなかった方法を採り、多くのひとにオーケストラやそのコンサートへの関心を呼び込もうとしている。

複数用意されたリターンの中で注目されるのは気鋭の写真家Keisuke Mitsumoto氏のフォトブック。彼は触ると対象がパッと動きだしそうな写真を撮り、見る者は眼や心が吸い寄せられる感覚に。とりわけオーケストラのリハーサル写真の瑞々しさは破格。

camp-fire.jp

指揮者・水野蒼生とO.E.Tが開けるクラシック音楽の扉の鍵。たくさんのひとが開かれる扉から中に入って欲しいと思う。