気鋭の指揮者とオーケストラがさらにワンステップ踏み出す
今夜はなかのZERO大ホールで行われたこちらの公演に足を運んだ。創立60周年という佐多達枝・河内昭和バレエスタジオの第56回発表会。
私が観賞したのは第2部の合唱舞踏劇「戴冠ミサ」のみ。簡単に言えばモーツァルトの戴冠ミサ曲をバレエに仕立てたもの。先般ブログで取り上げた坂入健司郎+東京ユヴェントス・フィルハーモニーのコンビ初のオーケストラピット入り。また私にとって意外な形でこのコンビの生初体験となった。
客席からの風景(休憩中に撮影)。
画像左下(舞台下手隅)のひな壇に合唱団が並び、画像右下(舞台上手前方のスペース)にソリストが必要に応じて出入りする。子供から大人まで勢揃いの踊り手は白の衣装をまとっていたがバレエの巧拙や振付・演出の良し悪しは全く分からないのでコメントは控える。
オーケストラは透明でシャキッと発音する弦にマホガニー調の濃やかさを醸し出す木管、とりわけオーボエがうまく絡んでかなりの充実。坂入の棒も瑞々しさと同時に一種の落ち着きがあり、響きに優しさやしっとり味の温かみを感じた。バレエとのアンサンブルは大変だったろうがまずまずの成功に見えた。指揮者、オーケストラ双方にとって得難い経験となったはず。
坂入は2018年6月16日に同じバレエスタジオの合唱舞踏劇「カルミナ・ブラーナ」の指揮をとる(オーケストラは東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団)。オルフの有名作のバレエ化。現在この曲を演奏する場合の多くはコンサート形式だが本来舞台作品だから、いわば「正しい形」の公演となる。
かつてカラヤンがミラノ・スカラ座で「カルミナ・ブラーナ」を含む「トリオンフィ三部作」の舞台上演を指揮した。なぜかカラヤンは戦後コンサートで取り上げず、録音は全く遺していない。ちなみにホルストの「惑星」のレコードがベストセラーとなったカラヤンだが実演ではバレエにしたのを一度振ったのみ。コンサートにはのせなかった。
※文中敬称略