アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

2/25【O.E.T presents Salon「革命前夜」】

2018年2月25日 サローネ・フォンタナ

ヴァイオリン:菊池武文、谷崎大起

ヴィオラ:世川すみれ

チェロ:渡邉ゆかり

ピアノ:三好駿

案内:水野蒼生

〔演奏曲目〕

ワーグナー(三好駿編曲ピアノ五重奏版):楽劇「トリスタンとイゾルデ前奏曲

ドビュッシー:弦楽四重奏曲より第1楽章、第4楽章

コルンゴルト:ピアノ五重奏曲

O.E.Tメンバーを中心とする室内楽公演「Salon」第1回が満席の聴衆のもと行われた。

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最初のワーグナーはピアノ五重奏ながら水野が棒を持たずに指揮するスタイル。弦の響き方、曲の進行につれて際立つうねりが通常の室内楽とは明らかに異なる質感で指揮者の「効果」を認識できた。ゾッと余韻が漂う終結も絶妙。 

2曲目のドビュッシー。自立心旺盛な4人の奏者による四重奏でそれぞれの音色、作品に対する視点が火花を散らしつつ、ひとつの音楽が形成、進行する。とりわけヴィオラ、チェロの味が濃かった。一糸乱れぬ、とはまた違う面白さ。

掉尾を飾るコルンゴルト。第1楽章はR.シュトラウスの「薔薇の騎士」風の美しい旋律で始まり、だんだん尖った雰囲気が顔を出していく。第2楽章は自作の歌曲の旋律を使った浮遊感のある変奏曲。第3楽章はブラームスのヴァイオリン協奏曲のソロ登場部に似た第1ヴァイオリンのソロからスタートして起伏の大きい強靭な音楽。第1楽章の主題で締め括られる。

ピアノが達者だったコルンゴルトだけあってピアノパートはかなりの運動性能が求められる。三好はよく対応していた。また弦楽四重奏も切り返しの激しい箇所の処理をうまく処理した。先人の影響を覗わせつつ、鋭い刃先が光る佳品だと思う。

ワーグナーに始まる近現代の流れを前衛とは違う方向から辿る好プログラムを最適な空間で聴け、充足感のある一夜だった。

#OET革命前夜

Korngold:Piano Quintet Op.15

コルンゴルト:ピアノ五重奏曲 ホ長調 作品15

Aron Quartet/Korngold:String Quartets No1-No3,Piano Quintet Op.15

ブーレーズ指揮、GMJO/ワーグナー:《トリスタンとイゾルデ》~前奏曲

カペー弦楽四重奏団/ドビュッシー:弦楽四重奏曲ト短調

ジュリアード弦楽四重奏団/ドビュッシー:弦楽四重奏曲ト短調