アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

5/9:北村英治ほか「即興の精神」@東京工業大学【音楽における「若さ」を想う】

https://www.instagram.com/p/BxSDtPmFFdQ/

北村英治さんに脱帽。伸び、艶やかさ、音の敏捷性の全てが完全現役の音楽。100歳までスイングしてほしい。#北村英治 #90歳 #ジャズ #クラリネット #東京工業大学 #東工大 #大岡山 #5月9日 #2019年 #令和元年 #驚異 #高浜和英

画像の通り前半は若い2人がクラシックの名曲、後半は御年90歳の北村氏とヴェテランのピアニスト高浜氏によるジャズのスタンダード。北村氏の父君政治郎さん(船舶の無線電話を発明)が東工大で研究していたという話には驚いた。なおピアノの平塚太一は北村氏の孫。

通常高齢の音楽家、特に管楽器奏者(や声楽家)の公演だと「高音はかすれがちで」「音の伸びにかげりが見え」「不安定なところはあった」が「それを補ってあまりある何かを感じさせた」と書き捨てるケースがしばしば。

しかし北村氏の演奏は前置きや但し書きの全くいらない100%現役の音楽だった。柔らかで澄んだ質感、流麗な音の伸び、細かいところの動きのしなやかさ、どこを取っても瑞々しい青春の息吹に満ちていた。もちろん合間のMC含めて立ったまま。若い音楽と佇まいに圧倒され、失礼ながら前半の2人の方が老けた音楽じゃないかと考えてしまうほど。

芸歴ほぼ70年、英米でも活躍してきた北村氏。ぜひ100歳までスウィングし続けてもらいたい。

※文中一部敬称略※

70's Eiji Kitamura コレクション

昭和アーカイヴス~Jazzシリーズ-3:北村英治のすべて

北村英治 Eiji Kitamura Home Page

5/3@LFJ2019第1日【トリオ/水谷川優子/Aoi Mizino】

https://www.instagram.com/p/Bw_QV_NF3p1/

久々の参戦。No.123のベレゾフスキーたちによるチャイコフスキーのトリオを聴いた。疲れた。#ラフォルジュルネ #東京国際フォーラム #ホールb7 #2019年#5月3日 #令和元年 #ベレゾフスキー #チャイコフスキー #ピアノ三重奏曲 #クラシックコンサート #クラシック音楽 #classicalmusic #ラフォルジュルネtokyo #lfj2019

ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー

ヴァイオリン:ニキータ・ボリソグレブスキー

チェロ:アレクサンドル・クニャーゼフ

いつも通り予習しすぎたせいで楽しめず、開始2分ほどで眠くなった。何とか終わりまで聴き通したがくたびれた。

クララ・ヴュルツ(pf) ドミトリー・マフチン(Vln) アレクサンドル・クニャーゼフ(Vc)/チャイコフスキー: ピアノ三重奏曲 「偉大な芸術家の思い出に」、ラフマニノフ: 悲しみの三重奏曲第1番

https://www.instagram.com/p/Bw_ybMGlGKo/

水谷川優子(チェロ)、黒田亜樹(ピアノ)。丸の内エリアコンサート(TOKIA)。ピアソラ、ヴィラ=ロボス。名手の気っぷのいい芸。撮影OKでした。※敬称略 #lfj2019 #ラフォルジュルネ #ラフォルジュルネ2019 #丸の内エリアコンサート #tokia #水谷川優子 #黒田亜樹 #チェロ #ピアノ #デュオ #クラシックコンサート #クラシック音楽 #classicalmusic #ピアソラ #ヴィラロボス #2019年 #令和元年 #5月3日

チェロ:水谷川優子

ピアノ:黒田亜樹

ピアソラ:デカリシモ(ピアノソロ)

ヴィラ・ロボス:Divagation

ヴィラ・ロボス:黒鳥の歌

ヴィラ・ロボス:カイピラの小さな汽車

ピアソラ:ル・グラン・タンゴ

大陸ヨーロッパに根を持つ名手同士の共演はお互い伸び伸び弾き、トータルするときっちり着地する。チェロの機動性のある強靭さ、ピアノはかっちり決まったリズム処理の凹凸が聴きものだった。

CON ANIMA~魂をそえて~ 水谷川優子

Tango 2000 黒田亜樹

https://www.instagram.com/p/Bw_4UIBlIVl/

フォル・ニュイ第1夜。クラシカルDJ Aoi Mizunoとダンスの饗宴。※リハーサル。撮影OKでした。#aoimizuno #lfj2019 #ラフォルジュルネ2019 #東京国際フォーラム #キヨスクステージ #2019年 #5月3日 #令和元年 #ライヴパフォーマンス #クラシカル音楽 #クラシカルdj

クラシカルDJ:Aoi Mizuno(水野蒼生)

ダンサー:渡辺理恵、上野可南子、高橋慈生、安楽葵

まずは東京ピアノ爆団やCDによりおなじみのオーケストラリミックスで自己紹介。次に会場を空港のターミナルに見立て(実際似た雰囲気の空間だった)、音楽祭のテーマ「旅」と響き合うダンサーとクラシカルDJの共演。喧噪、天気の急変、男女のさや当てと分かりやすい筋で一篇の立派なモダンバレエ。水野もDJしつつ出国係などを演じる。ブリトゥンの歌劇「ピーター・グライムズ」より4つの海の間奏曲の第1曲「夜明け」、リヒャルト・シュトラウス交響詩「ドン・ファン」とブラームス交響曲第4番の第2楽章(発売中のCDでも聴ける)の使い方が舞台上の起伏を引き立てた。

締め括りは舞台上が「クラブ」に変身。聴衆をステージに呼び込みリミックスで踊ってもらう趣向。最初はパラパラ上がっていたがいつしか舞台いっぱいの人数が集まり、狂喜乱舞のサラダボール。さりげなく近現代のピクルスを挟むのが水野スタイルでラストもシェーンベルク編のブラームスのピアノ四重奏曲第1番。20世紀作品でひとがこんなに直線的盛り上がりを示すのは空前の事態だろう。

数年前当時10代の水野と偶然出会い、その後彼が東京ピアノ爆団でクラシカルDJを始め、さらにクラウドファンディングでオーケストラ公演を実現、ついに名門ドイツグラモフォンからメジャーデビューするまでの過程を見てきた。

今回水野はLFJ2019で聴衆をステージに引き入れ、共に作り上げる公演を成功させた。ここまでの歩みの一端を知る者として感慨深かったし、瑞々しい才能と早い時期に出会えた幸運に感謝した。彼がこれから一層輝くことを心から願っている。

↓水野の公演やトークを含むLFJ2019の映像はこちら↓

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2579311215430530&id=351714991523508
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ミレニアルズ-ウィ・ウィル・クラシック・ユー- Aoi Mizuno

※文中敬称略※

『高松宮日記』【「天皇の弟」の複雑さ】


高松宮宣仁親王『高松宮日記』(中央公論社;1995年~1997年)昭和天皇の弟が1921年~1947年まで書き残した日記。第1巻で頻出するいわゆるお付きへの辛辣な所感が面白い。日記の公刊に同意した喜久子妃殿下が「これは当事者の遺族に申し訳ない」と憂慮したほど。中盤以降の巻、太平洋戦争開戦直前からの記述は戦況を詳細に書き留める一方、結構スタンスのふらつきもあり、昭和天皇が不審の目を向けた背景がうかがえる。「天皇の弟」の立場の難しさを考える上でも興味深い史料。本書を基にしたドキュメンタリー→https://youtu.be/S6CeRM-8ai0#高松宮日記 #高松宮宣仁親王 #中央公論社 #昭和史 #皇族 #日本政治外交史 #戦前政治 #読書 #本の紹介 #動画

実演でこそわかる魅力と難しさ【2019/4/12@信時潔:交声曲「海道東征」コンサート】

https://www.instagram.com/p/BwJwVi3lrfA/

本日はこちら。#4月12日 #平成31年 #信時潔 #海道東征 #大友直人 #東京フィルハーモニー交響楽団 #東京芸術劇場 #クラシックコンサート #クラシック音楽

https://www.instagram.com/p/BwJ9heRlBEi/

アンコール。日頃のコンサートと客層がまるで違った。#大友直人 #東京フィルハーモニー交響楽団 #信時潔 #海道東征 #アンコール #海ゆかば #クラシック音楽 #クラシックコンサート #東京芸術劇場 #平成31年 #4月12日

チラシの通りの名目で行われた演奏会のため、神社関係者や政治家、保守系の学者などがズラリと客席に居並び独特の雰囲気。

メインの「海道東征」は皇紀2600年(1940年)を記念して書かれた一種のカンタータ古事記の神武東征をテーマとしたもの。時節や題材から勇ましい作品を連想するが殆どそうした色はなく、伸びやかで潤いのあるしなやかなサウンドが基調の約50分の作品。オーケストラの規模は二管編成にピアノが入る。

確かに古事記日本書紀を基にした北原白秋の歌詞(字幕あり)は天皇や皇室を称える色が強いが言葉の重々しさを別にすればよほど反皇室のひと以外には概ね受け入れられると感じた。格調高い内容の歌詞のところでバックに木管をあてるケースが多かったのは興味深く、これは実演でこそ視覚的に実感できたこと。

豪華な顔ぶれの独唱陣、合唱団はともに好演で慣れない古語の歌詞にうまく対応、凹凸もきれいにつけていた。こういう式典系コンサートの常連である大友直人の指揮はそつなく流麗なまとまりを構築。ただオーケストラは作品に不慣れなためか、さほど難しいスコアじゃないのによろめく場面が若干あった。英国のように自国作品大好きのお国柄ならありえない話だが仕方ない。こういう作品が近年になって時々実演にかかっている状況をありがたく思わなければ罰当たり。

交聲曲「海道東征」-信時潔-作品集

信時潔:交聲曲 海道東征 他

声とピアノのダイヤモンドが輝き合う【2019/7/18:西村悟&阪田知樹デュオリサイタル】

2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール優勝以降、進境著しいピアニスト阪田知樹については幾度か取り上げた。

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そして元号も「令和」に変わって迎える7月、テノールの若手注目株の西村悟とのデュオリサイタルを行う。

www.kanagawa-arts.or.jp

www.japanarts.co.jp

単に歌とピアノソロを並べず、ビゼーの歌劇「カルメン」の「花の歌」とブゾーニ編の「カルメンパラフレーズ」、ヴェルディの歌劇「リゴレット」の「女心の歌」とリストの「リゴレットパラフレーズ」という具合に対称性も絡めたプログラム。人気急上昇中の両者がどんな化学反応を響かせるか、大注目。

スペイン狂詩曲~阪田知樹デビュー!

四月は君の嘘 僕と君との音楽帳

「予習病」が災いして【2019/3/10@坂入健司郎指揮、東京ユヴェントス】

https://www.instagram.com/p/BvAbexCF_Ze/

3月10日はこちらに。ほぼ満員の盛況。ご同慶の至り。#坂入健司郎 #東京ユヴェントス #東京ユヴェントスフィルハーモニー #第一生命ホール #第18回定期演奏会 #ベートーヴェン #ストラヴィンスキー #ラヴェル #石上真由子 #クラシック音楽 #コンサート #オーケストラ #2019年 #3月10日 #TJP #tokyojuventus

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ソリスト、指揮共に奇妙でない清新な表現を打ち出し、面白い部分は多かったが事前に過去の名演奏を聴きこみすぎ、お腹いっぱい状態だったせいかいまいち入り込めず。ひとを迎えに行く予定があったので最終和音が鳴り終わると同時に席を立った。

https://www.instagram.com/p/Bu2I61klVJM/

そんなに顔近づけて何話しているの?線が太く動きはシャープな独奏、ぶっきらぼうに出し入れする作曲者の指揮。#ストラヴィンスキー #スターン #アイザックスターン #cbs #sonybmg #ソニークラシカル #セッション録音 #ヴァイオリン協奏曲 #自作自演 #クラシック音楽 #顔近すぎ

クラシックを聴き始めて約25年、予習し過ぎで痛い目に度々あってきたが未だに懲りない。もはや不治の病か。

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ブルックナー: 交響曲第9番 ニ短調 WAB 109 坂入健司郎 、 東京ユヴェントス・フィルハーモニー

Opus One ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ 石上真由子

intoxicate#138「俵孝太郎のクラシックな人々」【”ドボコン”の思い出】

https://www.instagram.com/p/BubKfvSF9FQ/

俵孝太郎氏イチオシ。L.ヘルシャーはかつて朝比奈隆や園田高弘と共演した。朝比奈さんいわく「よく呑みました。下手だったけど熱演型で面白かったな」。いや、下手ではないと思う(笑)。キューンとした内に向かって語る音色。カイルベルトのバックは活気ある。#ルートヴィヒヘルシャー #カイルベルト #テレフンケン #ワーナー #warner #ドヴォルザーク #チェロ協奏曲 #keilberth #hoelscher #dvorak #spotify #クラシック音楽 #セッション録音

タワーレコードのフリーマガジン「intoxicate」の名物コラム「俵孝太郎のクラシックな人々」。過去幾度が取り上げた。

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choku-tn.hatenablog.com2019February(#138)のテーマはドヴォルザークのチェロ協奏曲。俵氏は学生時代の記憶と絡めて作品や演奏に対する思いをシンプルかつ余剰のにじむ言葉で綴る。詳細は誌面を御覧頂くとしてL.ヘルシャー(vc.)+カイルベルト指揮、ハンブルク国立フィルをベストワンに挙げているのはいかにも「らしい」。絶対音楽評論家からは出てこない発想。なお本文前半の主役カサド(vc.)+イッセルシュテット指揮、BPh盤の録音年を俵氏は1931年と記憶しているが実際は1935年。

ヨーゼフ・カイルベルト/テレフンケン録音集1953-1963 (ICON)

Ludwig Hoelscher - The Complete Telefunken Recordings

この作品のことは拙稿でもかつて掲載した。

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https://www.instagram.com/p/BtsInjXFuiX/

きっぱりした発音で毅然と弾き抜く。オーマンディのバックが音楽を麗々しく縁取る。余白にローズ自身による当時の販促用コメントを収録。作品、楽器、共演者について如才なく話している。英語のリスニングにも好適。#レナードローズ #ヨーヨーマの師匠 #ドヴォルザーク #チェロ協奏曲 #チャイコフスキー #ロココ風の主題による変奏曲 #チェリスト #チェロ #オーマンディ #フィラデルフィア管弦楽団 #クラシック音楽 #cbs #ソニークラシカル #spotify #セッション録音 #本人コメントあり

上記リンク記事以降に聴いたものではレナード・ローズのライヴ録音(DOREMI)が良かった。やや渋めの伸びのいい音で要所を押さえながらしみじみ上品に語る。壮年期のデュトワの指揮はシャープで充実、音質も鑑賞しやすい。

Leonard Rose plays Dvorak, Tchaikovsky, Beethoven &Saint-Saens

Leoanrd Rose: The Complete Concerto & Sonata Recordings<完全生産限定盤>