アフターアワーズ

文化・社会トピック切抜き帖

2017-01-01から1年間の記事一覧

2018/2「東京ピアノ爆団」第3回【ライヴハウス+クラシックDJ+超絶ピアノ演奏】

あのO.E.Tの代表が仕掛ける音楽爆弾!? 2017年2月にオーケストラ・アンサンブル東京(O.E.T)を結成、クラウドファンディングにより7月の結成公演を大成功させた指揮者の水野蒼生。彼については何度かブログで取り上げた。 choku-tn.hatenablog.com choku-tn.h…

北朝鮮の出口を考える【求められる日米チャイナの連携】

穏健な独裁への体制変更が現実的 チャイナ(中国共産党)からの特使を慇懃に追い返した後、11月29日に北朝鮮(金正恩)は弾道ミサイルをこれまでより高く飛ばす試射を行った。仮に特使と面会後にやっていれば決定的にチャイナのメンツを潰していたから特使に…

日米チャイナのトップ会談の必要性【トランプ米国大統領来日・アジア歴訪】

インテリの嘲りに抗う安倍・トランプの好相性 政治的な利害、お互いが背負う両国の国益といった事柄以前に安倍晋三首相とトランプ米国大統領は相性がいいのだろう。それが証拠に他の主要国の首脳はトランプ氏とのコミュニケーション不全に陥っている。1980年…

「新・55年体制」の始まり【第48回衆議院議員総選挙のあと】

「政界・野党再編」は「民進党組合派」の伸長に終わった 2017年10月22日に投開票が行われた(一部地域では台風の影響により翌日開票)第48回衆議院議員総選挙の結果は与党の自民党(安倍晋三総裁〔首相〕)がほぼ公示前勢力を確保。連立相手の公明党は数議席…

福間洸太朗ピアノリサイタル@10/11サントリーホール

緊張から光彩陸離へ 2017年10月11日(水)サントリーホール19時開演 【プログラム】 リスト:オーベルマンの谷(巡礼の年第1年スイスより第6曲) ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 -休憩- ラフマニノフ:前奏曲op.3-2 ラフマニノフ:前奏曲op.32より第12番、第13番 …

10/9:瀬﨑明日香ヴァイオリンリサイタル【緊張と歌心】

9月26日のブログで取り上げた瀬﨑明日香のリサイタルに足を運んだ。 choku-tn.hatenablog.com 〔演奏曲目〕 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタK.296 リヒャルト・シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ ~休憩~ ラヴェル:ツィガーヌ フランク:ヴァイオリン・ソナ…

なぜ「伊東」をやらないか【ジャイアンツ4位転落に思う】

2016年シーズンオフの怠慢のつけ 日本プロ野球のジャイアンツは11年ぶりのBクラスに終わり、セントラルリーグへのクライマックスシリーズ(以下CS)導入以来初めて進出を逃した。 www.sponichi.co.jp 今シーズンは前半戦で球団史上ワーストの13連敗を喫して…

瀬﨑明日香ヴァイオリンリサイタル@10/9紀尾井ホール

線が太くしかも敏捷な音楽の大型奏者 瀬﨑明日香はほんのり色気の漂う美音で骨格のがっしりした力感のある音楽が持ち味のヴァイオリニスト。作品全体の論理を見据える知性があり、しなやかな輪郭の解像度の高い響き。楽想の変化に反応してスパッと切り返す鋭…

【Hatena Blogお題より】秋の夜長に読みたい本

今週のお題「読書の秋」 春夏秋冬本を読んでいる身としては「読書の秋」で特別何か読もうとは考えないが、面白そうなので「読書の秋」と聞いて思い浮かぶタイトルを挙げてみた。 1.ジェフリー・アーチャー著、永井淳訳『ケインとアベル上・下』(新潮文庫) エ…

教育者が給食の目的を見失った結果【大磯町給食「食べ残し」】

国の未来を担う人材に出す食事ではない 神奈川県大磯町の町立中学校で給食の食べ残しが問題になっている。業者の納入しているデリバリー方式の給食の味が悪く、しかも異物が混入しているという体たらく。 headlines.yahoo.co.jp 画像を見る限り容器といい、…

範はチャンピオンズにあり【JAL選手権回顧】

日本のゴルフ受容史における画期的出来事 PGAツアーチャンピオンズ「JAPAN AIRLINESチャンピオンシップ」(成田ゴルフ俱楽部)はコリン・モンゴメリーの優勝で幕を閉じた。同ツアー初の日本開催試合の内容が激戦でしかも殿堂入り選手の優勝となったことは喜ば…

ショルティ没後20年に寄せて

「世界一有名な女性」とのほのかな縁 1997年9月5日、サー・ゲオルク・ショルティは休暇中の南フランスのアンディーブで心臓発作のため84年の生涯を閉じた。奇しくもダイアナ元英皇太子妃の葬儀の日。ショルティには後日開催の追悼コンサートのオファーが来てい…

人生初!応募メッセイジ採用【NHK-FM「きらクラ!」】

チャイコフスキーのオペラへの思いを込めて 毎週日曜14:00-15:50放送のクラシック音楽バラエティNHK-FM「きらクラ!」は気持ちのほぐれる楽しい番組。いくつかのコーナーの中にイントロ当ての「きらクラDON!」がある。8月27日の出題が大好きなチャイコフスキ…

羽田孜元首相逝去【「平時の羽田」の律義さ】

「伝説」をあえて否定した誠実な人柄 若き日の羽田孜元首相は小田急バスの観光課員だった。その時「歴史散歩」「文学散歩」などのバスツアーを羽田氏が考案したという「伝説」が政界進出後に作られた。サラリーマン出身の政治家は大体こうした伝説を利用する…

My Favorite Things:朝比奈隆のベートーヴェン【俵孝太郎のintoxicateコラムから】

日本人演奏家紹介のパイオニア 10指に余る朝比奈隆のベートーヴェン交響曲全集録音 ②1977-1978年ライヴ ③1985年ライヴ ⑤1988-1989年ライヴ ➅1991年ライヴ(第9番)、1992年ライヴ(第3番・「レオノーレ」序曲第3番と第5番)、1992年セッション(第1,2,4,6-8番…

My Favorite Things:近衞秀麿のドヴォルザークとアンダーソン

端正な佇まいに宿る屈折と哀感 近衞秀麿(1898-1973)は、晩年に読売日本交響楽団と共演してベートーヴェンの交響曲3曲、シューベルトの交響曲第8(7)番、ドヴォルザークの交響曲第9番などをセッション録音した。このうち最も感銘の深いのがドヴォルザーク…

ところでどんな音楽家だったの?【近衞秀麿の「再評価」に思う】

ストーリーと音楽を巡って 以前に取り上げた田代伶奈、水野蒼生、三好駿(順不同・敬称略)の鼎談にこんなやり取りがある。 -引用開始- 水野 ヒットする人は「ストーリー」を持つアーティスト。みんな物語を持っているけど、例えばベートーヴェンが聴覚障害を…

中内功に疼いた『野火』の記憶

日本文学史上屈指の傑作 8月14日、NHK-Eテレ「100分de名著」は大岡昇平の『野火』の2回目だった。『野火』は言わずと知れた日本文学史上の傑作。飢えが覆い尽くす戦場での人間の暗部、異様な心理を簡潔な文体によって抉り抜く。私見だがこれ一作で大岡昇平は…

張本勲の原爆の記憶

戦後72年なお残る原爆の影 2017年8月14日のNHK総合「ニュースウォッチ9」で東京都にある被爆者相談所を取り上げていた。高齢となり健康不安におびえるひと、長年逡巡した末に原爆症の認定を受けるひとなど悩める被爆者たちの声とそれを聞く相談員が描かれた…

My Favorite Things:安川加壽子のダンディ【鋭い閃光と反射神経の良さ】

「20世紀の名演奏」の記憶 クラシック音楽にハマって間もない10代後半、NHK-FMの「20世紀の名演奏」をよく聴いた。日曜の朝、故・黒田恭一さんの「おはようございます。黒田恭一です。20世紀の名演奏です」に始まり、「今日もお気持ち爽やかに、毎日をお過ご…

My Favorite Things:園田高弘のシューマンとブラームスの協奏曲【胸に秘めたロマンの心】

2017年5月6日のNHK-FM「N響ザ・レジェンド」で池辺晋一郎氏が園田高弘さんとのエピソードを話した。 「(ある若いピアニストが)《ラヴェルのピアノ協奏曲を弾いていると海が見える》と話した。いい言葉だと思って園田さんに話したら《ラヴェルと海は何の関係…

松山英樹とウッズの縁【WGCブリジストン招待優勝】

元々「ゴルフ世界一決定戦」だった試合 世界ゴルフ選手権(WGC)ブリジストン招待の最終ラウンドで松山英樹選手がコースレコードタイの61(-9)をマークして逆転優勝。マキュロイ、ザック・ジョンソンなどのメジャー覇者をショットの力によって抑えた鮮やかな…

哲学者+音楽家の鼎談から再び想った【センス、知識、クラシック音楽】

7月18日のブログで哲学者・田代伶奈、指揮者・水野蒼生、ピアニスト・三好駿(順不同・敬称略)の鼎談 nebulaph.com について書いた(若い哲学者+若い音楽家の対話【O.E.Tの先にあるもの】 - アフターアワーズ)。この時は簡単な紹介にとどめたが示唆に富み、学…

「ポスト安倍」の日本の風景を描けるか【第3次安倍・第3次改造内閣発足】

名実ともに「さあ、働こう内閣」 河野太郎外務大臣、林芳正文部科学大臣、茂木敏充経済再生担当大臣など発信に長けた実力者を多数迎え、防衛大臣は経験者の小野寺五典氏に委ねた。他の閣僚もおおむね所管分野の政策作りの経験があったり、党や国会で汗をかい…

My Favorite Things:ロリン・マゼール指揮のシベリウス交響曲全集

昔も今もドイツ、オーストリアのオーケストラはシベリウスが嫌い。田舎者の書いたよく分からない音楽と受け止めるのか、ベリルンドがベルリンフィルでやればメンバーが指揮者には敬意を払いつつ、「変なスコアだ」などと記者にボヤいたし、晩年のバーンスタ…

扉を開けた者、潜った者【それぞれのO.E.T@7/20"Opening"】

前回のブログで記した通りO.E.T(オーケストラ・アンサンブル東京)の結成記念公演が7月20日に行われた。私は残念ながら当日伺えず、やむなく母を代打に立てたが成功と言える内容だったようだ。 響きの扉を開けた日【O.E.T@7/20"Opening"】 - アフターアワー…

My Favorite Things:ショルティ指揮の薔薇の騎士

Facebookで同名のアイテム紹介コラムを書いてきた。今回からこちらに引越し。 【My Favorite Things:Facebook時代まとめ】 - アフターアワーズ 日本に愛されなかった大指揮者 サー・ゲオルク・ショルティは日本のクラシック音楽ファンと相性の悪い指揮者。 ま…

クラシック音楽コンサートは高い?【若いひとにはむしろお得】

特殊なものだけ見て全体をイメイジする愚かしさ 市井やネットでしばしば見掛ける声として「クラシック音楽のコンサートは値段が高い」というものがある。もし面と向かって言われた場合、相手になぜそう思うか尋ねるのだが、すると返ってくる答えは大概こうだ…

響きの扉を開けた日【O.E.T@7/20"Opening"】

とうとうやってきた。2017年(平成29年)7月20日、渋谷区文化総合センター大和田さくらホール。オーケストラ・アンサンブル東京の結成記念公演。オール・ベートーヴェン・プログラム。当日は予定のプログラムに先立ち、オープニングに指揮者・楽団代表の水野蒼生…

無能さとまやかしの結果【稲田朋美防衛大臣「日報」問題】

http://www.jiji.com/sp/article?k=2017072101049&g=pol おそらく稲田防衛大臣は目の前で話し合われている事柄や了承を求められた内容が何を意味するのか理解しないまま、裁可したのだろう。 なので後から聞かれても「ああ、もしかしてあれがそうだったのか…