アフターアワーズ

山椒系ちょくの切り抜き帖

福間洸太朗ピアノリサイタル@10/11サントリーホール

緊張から光彩陸離へ 2017年10月11日(水)サントリーホール19時開演 【プログラム】 リスト:オーベルマンの谷(巡礼の年第1年スイスより第6曲) ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 -休憩- ラフマニノフ:前奏曲op.3-2 ラフマニノフ:前奏曲op.32より第12番、第13番 …

【曲目構成を思う】瀬﨑明日香ヴァイオリンリサイタル@10/9紀尾井ホール

9月26日のブログで取り上げた瀬﨑明日香のリサイタルに足を運んだ。 choku-tn.hatenablog.com オールフルスロットルの難しさ プログラムはモーツァルトのヴァイオリン・ソナタK.296とリヒャルト・シュトラウスのヴァイオリン・ソナタが前半、後半はラヴェルのツ…

なぜ「伊東」をやらないか【ジャイアンツ4位転落に思う】

2016年シーズンオフの怠慢のつけ 日本プロ野球のジャイアンツは11年ぶりのBクラスに終わり、セントラルリーグへのクライマックスシリーズ(以下CS)導入以来初めて進出を逃した。 www.sponichi.co.jp 今シーズンは前半戦で球団史上ワーストの13連敗を喫して…

瀬﨑明日香ヴァイオリンリサイタル@10/9紀尾井ホール

線が太くしかも敏捷な音楽の大型奏者 瀬﨑明日香はほんのり色気の漂う美音で骨格のがっしりした力感のある音楽が持ち味のヴァイオリニスト。作品全体の論理を見据える知性があり、しなやかな輪郭の解像度の高い響き。楽想の変化に反応してスパッと切り返す鋭…

【Hatena Blogお題より】秋の夜長に読みたい本

今週のお題「読書の秋」 春夏秋冬本を読んでいる身としては「読書の秋」で特別何か読もうとは考えないが、面白そうなので「読書の秋」と聞いて思い浮かぶタイトルを挙げてみた。 1.ジェフリー・アーチャー著、永井淳訳『ケインとアベル上・下』(新潮文庫) エ…

教育者が給食の目的を見失った結果【大磯町給食「食べ残し」】

国の未来を担う人材に出す食事ではない 神奈川県大磯町の町立中学校で給食の食べ残しが問題になっている。業者の納入しているデリバリー方式の給食の味が悪く、しかも異物が混入しているという体たらく。 headlines.yahoo.co.jp 画像を見る限り容器といい、…

範はチャンピオンズにあり【JAL選手権回顧】

日本のゴルフ受容史における画期的出来事 PGAツアーチャンピオンズ「JAPAN AIRLINESチャンピオンシップ」(成田ゴルフ俱楽部)はコリン・モンゴメリーの優勝で幕を閉じた。同ツアー初の日本開催試合の内容が激戦でしかも殿堂入り選手の優勝となったことは喜ば…

ショルティ没後20年に寄せて

「世界一有名な女性」とのほのかな縁 1997年9月5日、サー・ゲオルク・ショルティは休暇中の南フランスのアンディーブで心臓発作のため84年の生涯を閉じた。奇しくもダイアナ元英皇太子妃の葬儀の日。ショルティには後日開催の追悼コンサートのオファーが来てい…

人生初!応募メッセイジ採用【NHK-FM「きらクラ!」】

チャイコフスキーのオペラへの思いを込めて 毎週日曜14:00-15:50放送のクラシック音楽バラエティNHK-FM「きらクラ!」は気持ちのほぐれる楽しい番組。いくつかのコーナーの中にイントロ当ての「きらクラDON!」がある。8月27日の出題が大好きなチャイコフスキ…

羽田孜元首相逝去【「平時の羽田」の律義さ】

「伝説」をあえて否定した誠実な人柄 若き日の羽田孜元首相は小田急バスの観光課員だった。その時「歴史散歩」「文学散歩」などのバスツアーを羽田氏が考案したという「伝説」が政界進出後に作られた。サラリーマン出身の政治家は大体こうした伝説を利用する…

My Favorite Things:朝比奈隆のベートーヴェン【俵孝太郎のintoxicateコラムから】

日本人演奏家紹介のパイオニア かつてニュースキャスターやクイズ番組「マジカル頭脳パワー」の解答者としてお茶の間でおなじみだった政治評論家の俵孝太郎氏(1930-)はクラシック音楽ファン。単なる趣味に止まらず、日本のクラシック音楽受容史を録音の観…

My Favorite Things:近衞秀麿のドヴォルザークとアンダーソン

端正な佇まいに宿る屈折と哀感 近衞秀麿(1898-1973)は晩年、読売日本交響楽団と共演してベートーヴェンの交響曲3曲、シューベルトの交響曲第8(7)番、ドヴォルザークの交響曲第9番などをセッション録音した。この中で最も深い感銘を受けるのがドヴォルザ…

ところでどんな音楽家だったの?【近衞秀麿の「再評価」に思う】

ストーリーと音楽を巡って 以前にも取り上げた田代伶奈、水野蒼生、三好駿(順不同・敬称略)の鼎談。 nebulaph.com こんなやり取りが -引用開始- 水野 ヒットする人は「ストーリー」を持つアーティスト。みんな物語を持っているけど、例えばベートーヴェンが…

中内功に疼いた『野火』の記憶

日本文学史上屈指の傑作 8月14日、NHK-Eテレ「100分de名著」は大岡昇平の『野火』の2回目だった。『野火』は言わずと知れた日本文学史上の傑作。飢えが覆い尽くす戦場での人間の暗部、異様な心理を簡潔な文体によって抉り抜く。私見だがこれ一作で大岡昇平は…

張本勲の原爆の記憶

戦後72年なお残る原爆の影 2017年8月14日のNHK総合「ニュースウォッチ9」で東京都にある被爆者相談所を取り上げていた。高齢となり健康不安におびえるひと、長年逡巡した末に原爆症の認定を受けるひとなど悩める被爆者たちの声とそれを聞く相談員が描かれた…

My Favorite Things:安川加壽子のダンディ【鋭い閃光と反射神経の良さ】

「20世紀の名演奏」の記憶 クラシック音楽にハマって間もない10代後半、NHK-FMの「20世紀の名演奏」をよく聴いた。日曜の朝、故・黒田恭一さんの「おはようございます。黒田恭一です。20世紀の名演奏です」に始まり、「今日もお気持ち爽やかに、毎日をお過ご…

My Favorite Things:園田高弘のシューマンとブラームスの協奏曲【胸に秘めたロマンの心】

2017年5月6日のNHK-FM「N響ザ・レジェンド」で池辺晋一郎氏が園田高弘さんとのエピソードを話した。 「(ある若いピアニストが)《ラヴェルのピアノ協奏曲を弾いていると海が見える》と話した。いい言葉だと思って園田さんに話したら《ラヴェルと海は何の関係…

松山英樹とウッズの縁【WGCブリジストン招待優勝】

元々「ゴルフ世界一決定戦」だった試合 世界ゴルフ選手権(WGC)ブリジストン招待の最終ラウンドで松山英樹選手がコースレコードタイの61(-9)をマークして逆転優勝。マキュロイ、ザック・ジョンソンなどのメジャー覇者をショットの力によって抑えた鮮やかな…

哲学者+音楽家の鼎談から再び想った【センス、知識、クラシック音楽】

7月18日のブログで哲学者・田代伶奈、指揮者・水野蒼生、ピアニスト・三好駿(順不同・敬称略)の鼎談 nebulaph.com について書いた(若い哲学者+若い音楽家の対話【O.E.Tの先にあるもの】 - アフターアワーズ)。この時は簡単な紹介にとどめたが示唆に富み、学…

「ポスト安倍」の日本の風景を描けるか【第3次安倍・第3次改造内閣発足】

名実ともに「さあ、働こう内閣」 河野太郎外務大臣、林芳正文部科学大臣、茂木敏充経済再生担当大臣など発信に長けた実力者を多数迎え、防衛大臣は経験者の小野寺五典氏に委ねた。他の閣僚もおおむね所管分野の政策作りの経験があったり、党や国会で汗をかい…

My Favorite Things:ロリン・マゼール指揮のシベリウス交響曲全集

昔も今もドイツ、オーストリアのオーケストラはシベリウスが嫌い。田舎者の書いたよく分からない音楽と受け止めるのか、ベリルンドがベルリンフィルでやればメンバーが指揮者には敬意を払いつつ、「変なスコアだ」などと記者にボヤいたし、晩年のバーンスタ…

扉を開けた者、潜った者【それぞれのO.E.T@7/20"Opening"】

前回のブログで記した通りO.E.T(オーケストラ・アンサンブル東京)の結成記念公演が7月20日に行われた。私は残念ながら当日伺えず、やむなく母を代打に立てたが成功と言える内容だったようだ。 響きの扉を開けた日【O.E.T@7/20"Opening"】 - アフターアワー…

My Favorite Things:ショルティ指揮の薔薇の騎士

Facebookで同名のアイテム紹介コラムを書いてきた。今回からこちらに引越し。 【My Favorite Things:Facebook時代まとめ】 - アフターアワーズ 日本に愛されなかった大指揮者 サー・ゲオルク・ショルティは日本のクラシック音楽ファンと相性の悪い指揮者。 ま…

クラシック音楽コンサートは高い?【若いひとにはむしろお得】

特殊なものだけ見て全体をイメイジする愚かしさ 市井やネットでしばしば見掛ける声として「クラシック音楽のコンサートは値段が高い」というものがある。もし面と向かって言われた場合、相手になぜそう思うか尋ねるのだが、すると返ってくる答えは大概こうだ…

響きの扉を開けた日【O.E.T@7/20"Opening"】

とうとうやってきた。2017年(平成29年)7月20日、渋谷区文化総合センター大和田さくらホール。オーケストラ・アンサンブル東京の結成記念公演。オール・ベートーヴェン・プログラム。当日は予定のプログラムに先立ち、オープニングに指揮者・楽団代表の水野蒼生…

無能さとまやかしの結果【稲田朋美防衛大臣「日報」問題】

http://www.jiji.com/sp/article?k=2017072101049&g=pol おそらく稲田防衛大臣は目の前で話し合われている事柄や了承を求められた内容が何を意味するのか理解しないまま、裁可したのだろう。 なので後から聞かれても「ああ、もしかしてあれがそうだったのか…

鍵の開いた扉からどうぞ中へ【O.E.T@7/20"opening"】

本ブログで何度か取り上げてきたオーケストラ・アンサンブル東京(O.E.T)の結成記念公演がいよいよ明日7月20日に迫った。 https://twitter.com/o_e_tokyo/status/88709963436717670540人編成のオーケストラが最適なサイズのホールで繰り広げるクラシック音…

若い哲学者+若い音楽家の対話【O.E.Tの先にあるもの】

哲学者の田代伶奈、ピアニストの三好駿、そして指揮者・O.E.T代表の水野蒼生の鼎談。 http://nebulaph.com/dialog/classicalmusic/ 若い音楽家2人がいまクラシック音楽をフレッシュな形で世に問う背景を中心にしながら、それぞれが想う古典を学ぶ意義、古典…

強すぎて嫌いだった千代の富士

7月17日、横綱白鵬は大相撲名古屋場所9日目に通算1045勝目を挙げ、第58代横綱千代の富士に通算勝利数で並んだ。白鵬は千代の富士を敬愛し、2015年に千代の富士が行った還暦土俵入りでは太刀持ちを務めた(露払い日馬富士)。この時「九重親方(当時)は人望…

あの人は今【全英オープンに寄せて】

7月20日-23日に全英オープンゴルフ選手権がイングランドのロイヤル・バークデールゴルフクラブで行われる。 この大会では幾多の名勝負が繰り広げられたが不思議なことに過去の40年で優勝したり、活躍を見せた選手のなかにその後フェイドアウトしてしまったひ…